交通事故で大切なクルマを失ってしまい、釣りにも行けないし図書館に行って新しい本を借りてくるわけにもいかず、ここ2週間ほどは自宅でカンヅメ状態の日々が続いている。
出来ることといえば猫の額ほどの庭の木の水遣りと音楽を聴きオーディオをいじることぐらいだが、音楽と向き合えば向き合うほどいろいろと音質のアラが目立ってきて、オーディオをいじりたくなる。
いろんな人から「なかなかいい音になったね」と言われても、どこか一部に不満が残るというか、自分の工夫次第でもっといい音になるのではという欲が尽きないのは「オーディオ愛好家の宿命」か。とにかくキリがない世界なのである。
目下の悩みのタネは、中域~高域用(周波数300ヘルツ~)ユニットとして使っている「アキシオム80」(口径20cm、エッジレス)の音楽信号に対する応答速度に比べて低域用(周波数およそ200ヘルツ以下)ユニットとして使っているJBL130A(口径38cm)の応答速度が劣るため全体的にバランスが取れていないこと。つまり低域に大きな弱点がある。
我が家のオーディオシステムの中心は何と言っても「アキシオム80」である。あの繊細で艶やかでふっくらとした音質は是非大切にしたいところで、結局他の機器はこれを引き立たせるためにあるようなもの。
定評のあるJBLの130Aだがアキシオムと相性が悪いのであれば代えるのに何のためらいもない。やはりイギリス文化とアメリカ文化は所詮、水と油なのだろうか。
取替えに専念できる時間もたっぷりあることから、この際いさぎよくこれを追放してその代わりとなる低域用ユニットの交換に取り組んでみた。
引っ張り出してきたのが、物置の奥深く直しこんでいたバックロードホーン型のスピーカーボックスとユニット(ナショナルの「20PW09」)。俗称「ゲンコツ」と称されたものでおよそ40年ほど前に一世を風靡したヤツである。
当時、長兄が”しがない”ボックスにこのユニットを内蔵して鳴らしていたのをよく聴かされていて、いわゆる「刷り込み現象」みたいなものでいいイメージを持っていたこともあり数年前にオークションで偶然発見してボックスごと手に入れたもの。
このユニットに低域の300ヘルツ以下を持たせ、さらに40ヘルツ以下をヤマハのスーパーウーファーに分担させようという魂胆。分かりやすく表示すると次のとおりとなる。
中域~高域(肩落ち6db:300ヘルツ以上)
SP「アキシオム80」ユニット
アンプ「PX25真空管アンプ」
低域~(肩落ち6db:200ヘルツ以下)
SP「ナショナル20PW09」(バックロードホーン入り)
アンプ「ケンウッド01A」
超低域~(40ヘルツ以下)
SP『ヤマハのサブウーファーシステム「YST-SW515」』(アンプ内臓)
※ スピーカーコードの結線はマニュアルどおり「ケンウッド01A」 → 「YST-SW515] → 「ナショナル20PW09」とした。
CDシステム
トランスポート「ワディア270」
DAコンバーター「ワディア27ixVer3.0」
といったラインアップになるが、問題は「20PW09」の置く位置と方向。試行錯誤のすえ結局、次のような設置となった。
何だか位相を随分と無視したずさんな置き方のようだが、オーディオ仲間のM崎さんによると周波数100ヘルツのときの音の波長は3.4mほどになるので、こと低域に関してはそれほど神経質にならなくてもいいとのこと。
とにかく理屈だけでいろいろ言ってみても聴いてみなければよく分からないのがオーディオの世界。
いろんな聴きなれた曲目を試聴してみたところ、どうもうまい具合に鳴る。低域の反応が随分と素早くなったし、音質に不自然なところが少しもない。
やってみただけのことはあって、”これで十分いける”と思わず熱くなった。
こうなると、次のステップとして現在タンノイウェストミンスターのボックスに取り付けているJBL130Aを外して、ナショナルの20PW09を取り付けることが考えられる。口径が38cmと20cmでは寸法が合わないが補助バッフルを作って、それに取り付ければ十分可能。
フッ、フッ、フッ。ホームセンターまでひとっ走りすれば補助バッフルはベニヤの合板で十分だし、穴あけの方はは注文どおり簡単にやってくれる。
とにかく動かなければ話にならず下駄代わりの足が是非必要、早く新しいクルマがこないかな~。