「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

三つ子の魂百までも

2014年03月20日 | オーディオ談義

前回からの続きです。

9年半使ったCDトランスポート「ワディア270」(以下、「270」)を修理に出して、その間、代用品として使わせてもらうことになったCS(イギリス)の「Verdi La Scala(以下「ラ・スカラ」)。

          

無事、セッティングが済んで待望の音出し。さあ、定価231万円にふさわしい音が出るかな?音の差が分かりやすいのはボーカルなので小椋 佳のCD「彷徨」から「しおさいの詩」を鳴らしてみた。システムの方は「WE300Bアンプ+AXIOM80」の組み合わせ。

もちろん「ラ・スカラ」はCDトランスポートなのでCDからデジタル信号を取り出して送るだけの役割しか持っていない。そのデジタル信号をアナログ信号に変換するためにはDAコンバーター(「igital to nalog onverter」だからDAC→通称:ダック)が必要となる。それは現在使っているワディアの「27ixVer.3.0」で間に合わせることにした。この際だから相性の良し悪しはあえて問うまい。

本当は同じ「dCS」のDAコンバーターを使うと、SACDも聴けるし、CDだってもっと高音質になるのだがそれは後日の可能性に期待しよう~。


さて、音が出たとたんに、目の覚めるような衝撃を受けた。これまで「270」の音にそれほど不満は無かったのだが、音のメリハリ、輪郭、雰囲気、佇まい、ありとあらゆる音の形容が一変するほどで、さすがに驚愕のお値段は伊達ではなかった!

CDトランスポートだけでこれだけ音の差が出るなんて信じられない!

次から次にCDを引っ張り出して聴いてみたが、特に管楽器の音色が印象的だった。近くの公園をウォーキング中にときどき練習中のトランペットの音を聴かせてもらっているが、音の輝きといい、響きの強さといい、生の音に近い印象を受けた。

ただし、留意点ももちろんある。

システムの微かなアラでさえも白日の下に晒し出す傾向があるので使いようによっては両刃の剣になる印象を受けた。また、音がやや乾燥気味のきらいがあるようだ。270が湿度60%とすると、ラ・スカラは湿度40%くらい。この辺は好みが分かれるところだろう。9年以上もずっと270を聴いてきたので余計そう感じるのかもしれない。この辺りはいささか自分の尺度に自信が無い。

言わずもがなだが自分はけっして自信家ではない。何ごとにつけ「自分の考えだけがいつも絶対に正しい」とはユメユメ思わないような“生き方”を心がけてきた積もり。もちろん耳だって例外ではない(笑)。

こういうときは仲間に一度聴いてもらってご意見を拝聴するに限るとばかり、いつもの湯布院のAさんに連絡し、「ものすごいCDトランスポートが来ましたよ。一度試聴してみませんか。」と誘いをかけてみた。

「あいにく現在福岡に居ります。今日はちょっと行けそうにもありません」とのご返事で残念!

それにしても、今回の件では改めて「音の入り口」の重要性を痛感した。

当たり前のことだが、最初に拾い上げた極小の電気信号をそのままアンプで増幅していってスピーカーのところで音に変換するのがオーディオシステムだから、万一、はじめの段階で信号の不完全さや欠落があるとすれば、それはそのまま拡大されていって大きな瑕疵になったり、あるいは大切な情報を失ったままになってしまう。つまり初動ミスが最後まで挽回できず、取り返しがつかない結果をもたらす。

後に控えるアンプやスピーカーでどんなに華麗な色付けをしてみても徒労に終わってしまう可能性があるのだ!

そういう意味でシステムの中で最上流に位置するCDトランスポートこそ「(システム全体の)音の支配者」なのかもしれないと思った。まるで「三つ子の魂百までも」である。あな恐ろしや~(笑)。

CDプレイヤー如きでの音の差なんて無視できる範囲と思っている方が圧倒的に多いだろうし、自分もそのクチだったが、一度「dCS」の音を聴くとその認識が改まるのではあるまいか。ただし、その違いを表現できるスピーカーを使うことが条件。

なお、ここで「ワディア」社のために一言弁護しておくと、

「スカラ」はこれまで使ってきた「270」とは製造年が5年前後違う。後者の方が古い。デジタル技術は日進月歩なので、この音質の差はワディア社とdCS社の技術力をそのまま反映しているわけでもないと考えるべきだろう。しかも経年劣化も考慮しないといけない。もちろん値段の差もおよそ2倍ほどある。その辺を斟酌しないと天下の「ワディア・デジタル」の面目が無かろう。

修繕後の「270」との聴き比べが楽しみだ。


なお「スカラ」の場合、音声信号を読み取るためにCD盤面の凹凸部分に当てるレーザー光線も強力で人的被害を防ぐために、わざわざ天板に乗せるスポンジ状のカバーまで付いている。素人考えだがこのことひとつとってみても音声信号の読み取りが極めて正確で輪郭のはっきりした音が目の前に浮かび上がって来そうな予感がする。

もう時間を忘れるほど夢中になって、気になる愛聴盤を次から次に引っ張り出して聴いていたところ、夕方になってAさんから「丁度、自宅に帰り着いたところです。今から30分後にお伺いします。」

「どうぞ、どうぞ、大歓迎です。」

これは楽しみ~。我が家の音を熟知されているAさんがこの音を聴いていったいどういうご感想を述べられるんだろうか?

以下、続く。


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