「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

友情か、はたまた「いい音」への欲求か

2015年12月20日 | オーディオ談義

それは1本の携帯への連絡から始まった。

「オークションにレイセオンのエンボス・マーク入りの71A(ナス管)が出品されてますのでお知らせしておきます。たいへん程度が良さそうな代物ですよ。」と、同じ「AXIOM80」仲間で古典管が大好きなKさん(福岡)。

「エッ、それは絶対に見逃せないですね。さっそくウォッチリストに登録しておきます。」

数ある古典管のブランドの中でも「レイセオン」、それもエンボス・マーク付きとくれば知る人ぞ知る稀少管。Kさんに感謝しつつ、秘かに心の中では「絶対に落とすぞ!」と固く誓った。

落札日は12月13日(日)の夜で、およそ1週間前の話。

すると、その2~3日前になって再度Kさんからご連絡。

「どうされますか?実を言いますと現在71AのプッシュプルアンプでローサーのPM6を鳴らしているんですが、とてもいい具合です。それも4本ともレイセオンのナス管を使ったときがベストです。あいにくスペアが2ペアしかありませんので、よろしかったら、(今回の入札を)譲っていただけませんか。」

ウ~ン、困った(笑)。

友情をとるか、はたまた「いい音」への欲求を優先させるか。「to be or not to be」と、まるでハムレット並みの心境だが、元はといえばKさんが最初に発見した物件である。チャレンジ精神や不断の努力を尊重し、最初の発見者にすべての権利が委ねられるのがこの世の倣いなので潔く諦めることにした。

その代わりといっては何だが交換条件を持ち出した。「転んでもただでは起きない」習性はいつものことだ(笑)。

「現在、整流管80の旧ナス管でメッシュプレートの480という古典管が出品されてます。落札日はレイセオンと同じ13日の夜です。出品者は有名な〇〇さんですから極めて信頼が置けます。SPARTON(アメリカ)というブランドですが聞いたことがありますか?」

「えっ、メッシュプレートですか!メチャ音がいいですよ。整流管のメッシュプレートは私も持ってません。SPARTONは聞いたことがありませんが、出品者が〇〇さんですから間違いないでしょう。もう、ため息が出そうな代物ですね。私が欲しいくらいです。」と、Kさん。

「それではこうしましょう。レイセオンはお任せしますので、整流管の方は私に落札させてください。」と、こうして一件落着。友情にヒビが入らなくてよかった(笑)。

それでは「480」のオークションでの画像と説明文を載せておこう。刻印付きのナス管である。

               

「SPARTON(アメリカ)の直熱両波整流管480(80の旧ナス管)です。 SPARTONは戦前に活躍した独立系の真空管製造会社で、画一的な製品が多いアメリカにあって、ちょっと個性的な真空管を出していた事で知られる会社です。
出品しています480も外観は他社の280と同様ですが、280としては大変珍しいメッシュプレートを採用した真空管です。

もちろん特性は他社の280や80と同じですから、そのまま差し替えて使用できます。規格は、フィラメント電圧5V 2A、プレート電圧350Vで125mAとなっています。ベース内に接着剤片がわずかに落ちていますが、それ自体絶縁体ですから問題は無く、ベースの緩みも有りません。ゲッタの減少も見られず、特性はTV7/Uで確認済みの美品です。 基準値40に対し、測定値は46/46となっています。 よろしくお願いします。」 

こうなると、問題は価格がどのくらいまで跳ね上がるかの一点に尽きるが、こういう稀少管に手を出すマニアはよほど限られているはずという気持ちも若干ある。

落札締切時刻は22時32分だが、とてもそんなに遅くまで(?)付き合えないので自分にとっては目一杯となる額を入札してあとは白川夜船を決め込んだ。

そして、翌朝一番にパソコンのメールを開いたところ「出品者からの連絡」という文字が目に躍った。

万歳!


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