「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

眼に蓋あれど耳にふたなし~その1~

2017年04月29日 | 復刻シリーズ

昔、昔、そのまた昔、日本が高度経済成長を遂げている華やかりし頃の昭和49年(1974年)、神奈川県のとある県営住宅で「ピアノ殺人事件」が起こった。

4階に住む無職の男性(46歳)が階下のピアノの音がうるさいと、33歳の母親と、8歳、4歳の2人の娘の計3人を包丁で刺し殺した実に痛ましい事件である。季節はうだるような暑さの夏。

被害者の部屋には黒光りした真新しいピアノが置いてあり、その隣の部屋には「迷惑かけているんだからスミマセンの一言くらい言え、気分の問題だ・・・・・・」との犯人が残した鉛筆の走り書きがあった。逃走した犯人は3日後、自ら警察に出頭したが、その後、自首したにもかかわらず死刑判決が確定した。

この事件は”いたいけな”幼児までもが2人も犠牲になるという、あまりの惨劇のためまだ記憶に残っている方がいるかもしれないが、「騒音」が「殺人」に至るほどの深刻な問題になることを提起したものとして当時、世の中を震撼させ、その後もずっと語り継がれている。

オーディオ装置で毎日、音楽を聴いている自分にとっても、それほど広大な家に住んでいるわけでもなし、「騒音問題」はとても他人事では済まされない問題である。世の中には音楽好きの方もいれば興味のない人もいる。いや、むしろ興味を持たない人の方が多いが、そういう方にとっては音楽は単なる騒音に過ぎない。

そこで、折にふれ、直接、騒音被害を蒙る対象の”向う三軒両隣”に対して、「うるさくないですか?」と訊ねることにしているが、「いいえ、全然~」という返事が異口同音に返ってくる。

「ウソをおっしゃいますな!」

近所付き合いの手前、きっと遠慮されているに違いないと、およその察しはつく。あまり甘えてばかりでもいけないので、お客さんが来たとき以外はできるだけ控えめの音量で聴くことにしている。

組織で働くときの上司と部下、そして自宅の隣近所は残念なことに自分で選択することはできないものだが、たまたま、(隣近所が)”いい人たち”に恵まれて「ほんとうに運が良かった」と胸をなでおろしている。

気の合わない人間と一緒に働くことになっても2~3年ほど辛抱すれば、異動があって顔を見なくて済むようになるが、隣近所ばかりは簡単に家を売って逃げ出すわけにはいかない。

丁度、日本にとって「一衣帯水」の地「中国」や「韓国」をイヤだからと避け続けるわけにはいかないようなものである。


都会のマンション暮らしでオーディオを楽しまれている方には、両隣のほかに上下の階が加わるので「騒音トラブル」がもっと切実な問題であることは想像に難くない。

したがってオーディオ愛好家は”すべからく”「騒音」に対する加害者、被害者の両方の立場から、日頃それなりの知識を蓄えておくのも悪くはあるまいと思う。

というわけで、「苦情社会の騒音トラブル学」という本を紹介しておこう。冒頭の「ピアノ殺人事件」も本書からの引用である。

                          

以下、次回に続く~。


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