「メル友」の奈良県のMさんから「急に五味康祐さん〔故人:作家、音楽評論家)の本が読みたくなりました。よろしかったらお借りできませんか?」
「はい、お安い御用ですよ。”西方の音”をはじめ4冊持ってますがすべて送りましょうか?」
「お願いします。その代わりといっては何ですが、70年代和製ポップスの12枚のCD特集を持ってます。興味があれば送りますが?」と、相変わらずの一方通行に終わらない細やかなお心遣い。
バッハ通のMさんなので和製ポップスをまさかお持ちとは!
「70年代は丁度青春時代の真っ盛りで懐かしい曲が多そうですね、是非お願いします」
そのCD集が我が家に到着したのが20日の土曜日。何せ12枚のCDなのでそっくりコピーともいかないので「iTunes」に気に入った曲だけを取り込むことにした。
月曜日の朝から取り掛かったが、「iTunes」を開くのはおよそ1年ぶりくらいで操作をほとんど忘れているがまあ、何とかなるでしょ。
クリックするといきなりプログラムの更新(インストール)の伺いが出てきたのですぐに同意。その間に12枚のCDの曲目〔およそ200曲あまり)を厳選して結局、以下の曲目に絞った。
「なごり雪」(イルカ)、「22歳の別れ」〔風)、「わたしの城下町」「瀬戸の花嫁」〔小柳ルミ子)、「異邦人」(久保田早紀)、「冬のリヴィエラ」「襟裳岬」〔森進一)
チョッピリ赤面といったところだが、「異邦人」は大収穫。
以前「iTunes Store」で探してもどうしても見つからなかった曲でメロディーも好きだが歌詞も実にいい。
「・・・空と大地が ふれ合う彼方(かなた) 過去からの旅人を呼んでる道 あなたにとって私 ただの通りすがり ちょっとふり向いてみただけの 異邦人・・・」
これほど豊かなイメージを育んでくれる歌詞も珍しく、こういうところに日本語の歌の良さがある。
しかし、久保田早紀も結局は「一発屋だったなあ」なんてしばし回顧。
パソコン外付けのCDドライブ「プレクスター」で上記の曲を次々に取り込んで、プレイリストの「お好み歌謡曲」にすべて追加。
そして次がお決まりの「iPod」(クラシック160GB)への同期開始でこれも無事終了。
ここまでくると、これまた久しぶりに「ワディア170iトランスポート」(以下、「170」)で「iPod」に取り込んだ曲を聴きたくなる。
この「170」、たしか1年以上も電源を入れずに放りっぱなし。
接続はDAコンバーター(ワディア27ixVer3.0)にデジタルコードで常に繋いでいるので電源さえ入れれば何時でもSPから音が出る状態。
「あれっ、何だか冴えない音だなあ」と、第一声。
1枚ベールを被ったようだし、窮屈そうな感じの音。以前聴いたときよりも随分と印象が違う。「こんなはずではないが?」と半信半疑ながら運動タイムになったので近くの公園を50分ほどかけてゆっくり散策。
その間も「何か音をよくする方法はないものか」と考え続けたが思いつかない。「iPod」のイコライザー設定もちゃんと「オフ」にしているし~。
どうしても気になるので夕食後に、再度聴いてみたところ今度はまったく別物か思うほど良くなった。
そしてやっと原因が判明。久しぶりに電源を入れたので温まって能力をフルに発揮するまで時間がかかったようだ。デジタル機器はものすごく電源に敏感であることを改めて思い知らされた。
ちなみにこの「170」の電源機器は、購入当初のオリジナルのものが余りにチャチだったので福岡の「吉田宛」というメーカーから購入したもの。
それにしても何という「気持ちのいい音」だろう。高音とか低音がどうのこうのという感じではなく実にバランスの取れた音。
歌謡曲からクラシックまでいろんな曲目を聴きながら「もうこれで充分」という気になる。
念のためCDトランスポートの「ワディア270」(以下「270」)で同じ曲を聴いてみたところ音の芯の締まり具合や彫の深さに一日の長があるがごくわずかな差。
これなら高価なCDプレーヤーなんて必要なし。値段のことを持ち出すと顰蹙(ひんしゅく)を買いそうだが、あえて言及するとこの「270」は5年ほど前に値引きと下取りしたうえで、たしか「100万円」くらいで購入した記憶がある。
それが電源機器も合わせて10万円ほどの「170」が立派に太刀打ちできるのだから大したもの。
まあ、「170」が85点だとすると「270」が90点、この5点の差に90万円を突っ込むかどうか、個人ごとの価値観によるだろうがこの辺がオーディオの難しさ。
とにかくこれからのオーディオはデジタルをうまく活用しないと本当に損をする。
ただし、「DAコンバーター」だけは絶対にケチらないほうが良さそう~。