「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

読書コーナー~「頭のよさ」は遺伝子で決まる!?

2007年12月23日 | 読書コーナー

「頭のよさは遺伝子できまる!?」(2007年8月24日、PHP新書刊)

著者:石浦章一(東京大学大学院総合文化研究科教授、理学博士、専門は神経生化学、分子認知科学)

最初にこの表題を見たときに「頭のよさ」は「遺伝」で決まると勘違いしてしまった。読み進んでいくうちに
「遺伝子」「遺伝」では大きな違いがあることが分かった。

まずブック・カバーに記載されていることばから。

言語力、計算力、記憶力、集中力、創造力、コミュニケーション力・・・・。「頭のよさ」を決めるさまざまな能力や性格は、果たして生まれつきなのか、それとも環境や努力で変えられるものなのか?
最新の遺伝子研究によって人間の神秘が少しずつ見えてきた。
眠れる遺伝子をオンにすれば才能は自然と開花する。

以上だが、この本は実に緻密に項目立てをしている。やや長くなるが全て記載してみた。読書に慣れた方は目を通すだけで、論説の流れ、勘どころが分かると思う。

プロローグ  「頭がいい」とはどういうことか、「一流大学出身者は頭がいい」はほんとうか、「頭のよさ」を決める要素とは?

第1章  頭のよさはどこまで遺伝で決まるのか
数値化できる頭の良さとは?
曇りの日の真昼に森で道に迷ったら?
IQはどこまで遺伝するか
人間にはいろいろな能力があるととらえる多重知能説
IQテストと学校の成績は関係あるか
自分の生まれつきの才能を見極めることは大切

第2章  記憶力は生まれつきなのか
短期記憶と海馬
昔の記憶はいろいろな場所に仕舞われている?
眠ることで記憶が定着する
脳のつながりがよくなる秘密
記憶の遺伝子が見つかった?
何故記憶力は衰えていくのか
女性は男性よりも記憶力がある?
だれでも三回くりかえせば暗記できる

第3章  好奇心や集中力がある人、ない人 
集中力に関係する脳内物質
ドーパミン不足は意欲や動作にも影響してくる
意欲がなくなれば死んでしまう
好奇心が強い人の遺伝子
意味のあることでドーパミンが出るようにする
アルコール依存症になりやすい遺伝子が見つかった
さまざまなアディクション
何にはまるかは性格や生活環境しだい

第4章  創造力豊かな子どもは育てられるか
脳の中で計算を担当している場所
創造力とは何なのか
創造力は教育しだい?
優柔不断な人は遺伝のせい?
右脳と創造性とは無関係
頭がいい人ほど脳を効率よく使っている

第5章  運動能力は遺伝、芸術的才能は環境
筋肉の質は遺伝する
持久力が高い「オリンピック症候群」の人たち
基礎的な運動能力は遺伝のたまもの
絶対音感が五、六歳までに決まる理由
禁煙は1ヵ月で達成できる
年をとっても使えば脳は変わる

第6章  遺伝子の神秘
メンデルの遺伝の法則
頭のよさを決める遺伝子はあるのか
両親とまったく似ていない子が生まれるのはなぜ?
なぜ男性にだけ表われる病気があるのか 
O型は劣性遺伝
精神遅滞はDNAの2%
ジャンクの中に残るウィルスの名残
なぜDNAから直接タンパク質がつくられないのか
遺伝子があってもそれが発現するかどうかが問題

第7章  男と女、どちらが頭がいいのか
「男は話を聞かず、女は地図が読めない」はほんとうか
「頭が大きい人は頭がいい」はほんとうか
「男の方が数学が得意」はほんとうか
男と女はどちらが生まれつき頭がいいか
性ホルモンが低下すると頭のはたらきが悪くなる
なぜ年をとると性ホルモンが減るのか
むかしは女性しかいなかった?
男の子らしい脳になるのはいつ?
男性の方が病気になりやすい?

第8章  頭がよくなる薬
コーヒーで頭がよくはたらく?
魚を食べれば頭がよくなるのか
解熱とは別のアスピリンの意外な効果
タバコが頭をよくする?
頭に直接効く薬がある?

第9章  性格は遺伝するのか
生まれつき決まっている性格、環境で決まる性格
気質を決める三つの脳内物質
うつ病と脳内物質の関係
遺伝的気質が生きるかどうかは経験しだい

第10章  人間関係をうまく築ける人、築けない人
人の気持ちが分からない
自閉症の遺伝子が見つかった?
生きていくのに必要な人間関係能力はだれでも身につけられる
特別な能力を伸ばしてあげられる社会
リーダーシップは生まれつきなのか

エピローグ  遺伝子をオンにする方法
脳の回路を自分でコントロールする力
母親の食生活が子どもの頭のよさに影響する
人それぞれに勉強法は違う
努力によって遺伝子をオンにすることができる

以上のとおりだが、次の言葉が印象に残った。

「頭のよさ」は一つの要素に限定できず、いろんな要素が絡み合っているので一概に断定できない」

自分の得意分野にはその能力に応じたはたらきやすい遺伝子をもっており、不得意分野については同様にはたらきにくい遺伝子をもっている。
その遺伝子のオン、オフをいかに上手に切り換えられるかは
環境と学習が決めており、そのことを認識することが「頭のいい人」になれる第一歩である。

この歳になっても、やはり頭のいい人にはあこがれるし、少しでも頭が良くなるのに越したことはないのでこれから努めて遺伝子のオン、オフの切り換え方を意識しようと思ったのがこの本を読んでの結論。
 
                           



 


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