讃岐うどんやラーメン食べ歩きと、旅のブログ

讃岐うどんの食べ歩きが好きです。また国内・海外問わず旅が好きなので、ぼちぼち書いていこうと思います。

昔話「とらべるまんの北海道」トラベル軍団

2023-01-24 20:00:00 | 旅行
 以前、「とらべるまんの北海道」については、このブログでも少し紹介しましたが、友人のSNSに話題が上がっていたので、懐かしくなり本棚をあさったら他のガイド本等も発掘されました。


 立正大学のメンバーが、古アパートの4畳半で思いつき、新宿の地下道で酔いに任せて「とらべる軍団企画室」を立ち上げ、私費で出版しが大赤字になってしまいました。イラスト・地図を含めすべて手書きです。その後、改訂版・新訂版を出しますが、個人の供出資金なので「そろそろ力尽きる」と編集後記に書かれていました。

 北海道のYHか通販でしか手に入りませんでしたが、北海道を旅する若者はこれを片手に、道内を徘徊する人たちも少なからずいました。

 しかし、「この本は、とらべるまん独自の体験と実地調査をもとに、道楽で書き上げたものです。弱気な方が旅の途中で手にいたしますと、計画が大幅に狂う恐れがあります。意思をしっかり持つとともに、取り扱いには十分ご注意ください」と表紙にありますので、非常に危険なガイドブックでもありました。(笑)

 かつてJRが国鉄といっていた時代には、北海道に鉄道網が張り巡らされており、炭鉱からの石炭輸送と共に、人々の足にもなっていた。九州もそうなんだけど太平洋戦争後、炭鉱が廃坑になりエネルギーが石油に移ってくとともに、モータリゼーションが発達したため鉄道の衰退がはじまった。

 それでも国鉄時代は、北海道中に鉄道が走っており、北海道ワイド周遊券があったので、金を持たない若者(主に学生)が、周遊券と、YH(ユースホステル)会員証、道内時刻表を持って、道内を右往左往していた。


 YHは、毎年会員証の更新をしなければならず、宿に泊まるとスタンプを押してくれた。


 宿によって、独自のスタンプがあったので、旅の記念にもなった。YHで知り合った仲間どうしで、スタンプを見せ合い「このYHには泊まったことがある」みたいな話題でも盛り上がっのであ。また、偶然に同一日に宿泊していたという、めずらしい偶然があることもある。スタンプ帳がいっぱいになると、宿独自の追加用のスタンプカードを貰えたりする。


 YH一覧は、会員になると貰えるのですが、どこかへいってしまいました。写真は、一般書店で販売している、YHのガイドブックです。YHは入れ替わりがあるので、毎年更新されました。


 YH以外にも、男女別の相部屋を提供する、比較的安い宿もあり、「とほ」という本に紹介されていた。YHではないので、スタンプはありません。


 あまり金のない若者が北海道を旅するというパターンは崩れてきて、そこそこリッチになった若者はYHを利用しなくなりました。いろいろと理由はあると思います。

①学生が金持ちになった。
②YHは、男女別相部屋で知らない人と同じ部屋になるのがいや。
③夕食・朝食は代金を払えば食べられるが、後片付け・食器洗いは自分で行う。
④YHによっては、朝の掃除が義務づけられる。
➄夕食後のミーティングがあり、宿によっては強制的に出席させられる。
⑥一部、き〇がいYHと呼ばれる宿があり、知らずに泊まると人によっては精神崩壊の危機もある。(無理やり、歌ったり踊ったりさせられる)
⑦酒の持ち込み禁止
⑧必ず電話で予約すること。直接宿に行ってはいけない。携帯などない時代なので、宿の直近にいても、公衆電話を探して電話する必要がある。
⑨基本、YHの会員以外は利用不可だが、宿によっては人数に余裕がある場合は、割増料金を払えば泊めてくれる場合もあった。
⑩袋状のシーツは必須で、持参しない場合(ほとんど持参しないと思うが)レンタル料金をとられる。なぜ袋状かというと、袋の中に入って寝て、布団を汚さないため。
⑪ベッドメーキングと片付けは、自分で行う。毛布は、YHたたみという独特の畳み方があり、それを遵守すること。知らないとたたみ方講習に参加させられる場合がある。
⑫「来たときよりも美しく」が基本なので、汚さないのは当然として、美化に尽力すること。

 思いつくまま書きましたが、ミーティングを「楽しい」と思う人がいる一方「苦痛」と感じる人もあると思います。

 ちょっと思ったこと。
①きち〇いYHとは知っていたが、友人とともに泊まった時、当然参加義務のミーティングに参加させられた。(折り込みずみだが)歌のお兄さんが登場し、みなで歌うのはいいが、とても恥ずかしい「くわ〇たさん踊り」というものを強要され、何人かが指名されて皆の前で踊らされた。(あたらなくて、本当に良かったと思った)
②GW期間中だが、どうみても定員越えだろうという部屋に入れられ、他人のいびきで一睡もできなかった。
③旅館と兼用のYHに行った時、食事のグレードの違いはしかたない(金額が違うからな)として、YH側の宿泊者をあからさまに下に見るような態度を示したこと。
④厳冬の北海道の離島で、暖房はミーティングルームにしかなく、マイナス10度くらいにもなる寝室で寝たこと。(人は、結構耐えられると思った)

 当初、かなりルールに縛られていたYHですが、利用者の減少と共に規制は緩和されていきました。
①酒を解禁するYHが増えた。
②食器洗い・掃除の免除をするYHが増えた。
③部屋に余裕があれば、家族で1部屋利用することができる場合もあるようになった。
④だんだんと、ミーティングを行うYHが減っていった。(これは、賛否両論あると思います)
➄スタンプを押すYHが減っていった。

 良かったこと。
①ミーティングは楽しい場合が多かった。
②何度が北海道に行っているうちに、一生涯友と呼べるような人ともめぐあえた。
③ほんとうに貧乏学生だったので、比較的安価に泊まれる宿は有難かった。
④宿によっては、独自のツアーを有料で行っているところもあり、車を持たない旅人には有用だった。
➄旅の有益な情報を口コミで得られる。
⑥良いYH、悪いYHの情報を得られる。(良い・悪いは個人の価値観による)

 そして、利用者は「金のない学生」から、二輪で旅をする「比較的若者」と、かつてYHを利用した「昔の若者」に移っていきます。昔の若者は、家族を伴う場合も少なくありませんので、雰囲気は一気に変わっていきます。利用者の減少と共に、YHの数は激減していきます。

 もうYHを使うことはないかなと思います。
①若くはないので、他人との相部屋はきつい。
②安いビジネスホテルや、そこそこ安価な2食付き旅館がネットで探せるので、価格の魅力が少ない。
③安さを求めるなら、車があるので車中泊も可能。

 とらべるまんの北海道をネットで調べてみたら、なんと定価の10倍以上で売られているではありませんか。(もちろん中古) 基本、旅のガイドブックは持参してボロボロになるまで使う場合が多いと思うので、綺麗な状態で残っているものは多くないでしょう。自分のも、比較的大事に取り扱っていましたが、表紙が分離しそうになっています。それでも内容部分は十分に読めるので、ましな方かなとは思います。紙なので、いずれは変色・崩壊していく定めです。

 とらべるまんの北海道新訂版 価格530円 (郵送だと送料込み700円)ただし、今は売っていません。

 1977年6月20日 初版発行
 1980年5月20日 改訂版発行
 1982年6月20日 新訂版発行
 発行者 とらべるまん
 発行所 とらべる軍団 群馬県高崎市某所
 印刷所 (株)報通 群馬県前橋市某所
コメント (8)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする