安倍派追放の屈辱で居直り
2024年4月1日
毎年4月1日は嘘をついていい「4月馬鹿」の日です。新聞をみていたら、やはりそれらしきニュースが見つかりました。「政治資金問題を巡る安倍派幹部の離党処分などを不満として、旧安倍派の最大100人が自民党を離脱し、新党を結成する」というのです。
安倍元首相が死去し、後継の会長が決まらないうちに、政治資金の裏金疑惑が発覚し、安倍派が最も悪質ということで、座長、事務総長ら4人が離党勧告、他にも党員資格の停止、選挙における非公認などを合わせ40人に重い処分が今週、決まります。
岸田首相が政権支持率のあまりの低さ(20%台)に危機感を強め、じわじわと安倍派追放を選択せざるを得なくなってきた。旧安倍派は離党勧告・非公認という屈辱を味わうくらいなら、自民党を飛び出し新党を結成する。この話をエイプリルフールに終わらせたくはない。
党名は安倍氏の牙城だった日本会議(「天皇は万世一系」と信じる守旧派、各種宗教団体)にちなみ「新党日本会議」とする。主だった全国紙に大きな広告を毎月、掲載している右翼雑誌の2誌の応援を受ける。
これを機に、安倍氏の死去後、実質的に安倍派に影響力を行使してきた森喜朗・元首相の存在を亡き者にするという仕掛けもできる。選挙で「元安倍派」と言われると、落選しかねないので「新党日本会議」を名乗る。4人衆だか、5人衆の仲が悪くても、落選回避のためには結束する。
安倍派が抜けたら、岸田派、麻生派、茂木派には大打撃でしょう。今の野党には政権を担当する政策的能力も、統一できる政策思想もない。自民党が分裂して、維新の会、公明党、国民民主党などとそれぞれが組み、新しい政策集団を目指す。
以前の自民党にはエネルギーがあり、こんなこともやってのけた。今の自民党は世襲議員が幅を利かせ、婿入りして世襲に滑り込む高級官僚も少なくない。政治的エネルギーが失われている。だから安倍派の離党・新党結成は保守勢力の再生のつなげる機会にする。
世界は大変革の時代を迎えているというのに、民主党が一時、政権(07ー12年)をとったものの、自民党を軸にした日本政界の革新はありませんでした。安倍氏は最長の長期政権にたどりついても、退陣後、安倍派なるものの功罪がはっきりしてきました。
旧統一教会との癒着、異次元金融緩和・拡張的財政政策の行き詰まり、そして今回の政治資金の裏金問題です。安倍長期政権こそ「エイプリルフール」だったのかもしれません。
世襲議員ほど当選回数を重ね、政権のトップに上り詰める。世界はグローバル化を迎えているのに、小選挙区制を地盤とする家内制手工業のような政治的手法(地盤、看板、鞄)が幅をきかせ、政治人材の新規参入の道が閉ざされています。
産業界は外国企業との提携・買収、外国の人材登用・採用などを進めないと、生き抜いていけない。産業、科学、スポーツ、文化・芸術などに比べ、政界は圧倒的に閉鎖社会です。せめて「ガラガラポン」で、政界を再編するまたとないチャンスにしてほしい。
それを追う政治ジャーナリズムの遅れもひどい。政治情報は「誰と誰の関係がいい、悪い」「自民党内の内紛、不満、寝返り」など、ほとんど政治の本質から外れた舞台裏情報に明け暮れています。
新聞社・テレビ局では、外国人役員も、外国人記者の雇用もほとんどない。政界ともに政治ジャーナリズムが最も遅れたサークルです。ジャーナリズムの原点に立ち戻り、新しい視点で情報を提供しもらいたい。
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