夏より秋開催がさらによい
2018年7月26日
異常気象による猛暑、熱中症の死者の報道に連日、接していると、2年後の東京五輪に重大な支障が出ないか心配になってきます。10月開催への変更を求める声も多く、「選手と観客に死のリスク」と、警鐘を鳴らす海外メディアもあります。今からでも再検討できる部分は変更したほういいですね。
スポーツ好きの友人が「NHKがこの問題を報道していた」と、連絡をくれました。私はうっかり見落としていたので、ネットでチェックしてみました。朝日、読売、毎日などの主要紙は東京5輪のオフィシャル・パートナーになっているせいか、「猛暑対策のため、マラソン(男子は8月9日)のスタート時間を7時半から7時に早めた」程度の無難な報道で済ませ、肝心な点には触れません。
開催時期を10月にずらすことは、2年後とはいえ、施設整備、選手の準備などで、実際には難しいでしょう。そこで工夫次第でやれる一例として、「マラソンコースを富士山麓に変更する」ことを提案します。都心よりずっと涼しいし、マラソンやサイクリングなど多くの種目で、山麓のコースをすでに使っています。マラソン以外でも、富士山麓周辺が適地の屋外スポーツはあるはずです。
富士山はユネスコの世界遺産に登録されていますし、日本の最高の象徴であり、映像としても映えるはずです。ビルの日陰をたどりながらのマラソンなどは、ちまちまして、発想が貧困です。
スポーツの祭典が泣く救急搬送
私が懸念するのは、熱中症で選手や観客、ボランティアが続々と救急搬送されたりすると、「スポーツの祭典」どころでなくなる。西日本の集中豪雨のように、家屋の損壊、河川の氾濫、100人単位の死者がでて、政府が激甚災害の指定でもすれば、五輪中止もありえないではありません。「日本はとんでもない時期を選んでくれた」となることは、間違いありません。国の恥をさらす国際問題です。
環境省の指針では、「気温31度以上は危険、屋外運動は原則中止」とか。選手は並み外れた体力の持ち主にせよ、35度以上どころか40度近くまで気温が上昇したら、どうするのでしょうか。屋内競技はエアコンで調節できても、屋外競技には対策にも限界があります。プールの水温管理はどうしますか。猛暑の中では、選手も音を上げ新記録、好記録をあまり期待できないでしょう。
東京5輪は、史上最多の33競技、339種目です。屋外でやる野球、サッカー、テニスなどは猛暑で中止か順延でしょうか。気象のことですから、予想は当てにできないにしても、年々、異常気象の猛威は強まっています。パラリンピックはどうでしょうか。今朝の新聞でも「世界猛暑、北極圏33度、米で熱波や火災」(読売)、「ギリシャで山火事、アジアで豪雨」(日経)と、すさまじい報道ぶりです。
主要メディアが五輪パートナーになり、テレビ局が巨額の放映権料(日本連合で275憶円)を払い、これをも回収するためCMを集めて、稼ごうとしています。ですから「異常気象で五輪運営も危機」というような報道は、するはずはありません。少なくとも日本オリンピック委員会(JOC)は世界気象機関(WMO)と協力して、気象予測を立て、万一の事態に備えておくべきです。
不測の事態が生じたら「こともあろうに、最も厳しい猛暑の期間に、東京五輪を開催した責任は日本にある」という集中砲火を、海外や選手団から浴びるでしょう。都知事どころか、「日本は何を考えてきたのか」と、内閣の責任を追及されましょう。
テレビ局が握る決定権
最近20回の五輪のうち15回が7月から8月にかけての夏です。夏が選ばれる最も大きな理由は、テレビ局の発言力の大きさにあります。真夏の五輪なら米国のプロスポーツ、欧州のサッカーとの競合を避けられ、放映権収入に影響が少ない。特に米国のテレビ局が決定権を握っているといわれます。一般的な理由としては、夏休みのシーズンなので観客を動員しやすいことを上げられるでしょう。
こうした考え方も、世界各地で異常気象が猛威を振るうようになり、夏開催を再検討する時期がきていると、思います。日本の夏は気温、蒸し暑さが他国以上に厳しいのですから、IOC(国際五輪委員会)が「7月15日から8月31日という日程を設定して、立候補する都市(国)を募った」段階で、問題を提起すべきでした。そうすると、「候補地から外される」とでも思ったのでしょう。
とにかく、五輪に与える異常気象の影響について、日本は積極的に発言し、開催時期の決定方式に問題を提起する立場にありましょう。
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