当社の芳垣玲子が、5月13日(金)フジテレビ「ノンストップ 」という番組の「若手社員のやる気を引き出すために上司はどのようにすべきか」というテーマのコーナーでコメントいたしました。テレビでは若手社員に対して「ほめるべきだ」、「いや、甘やかしてはいけない」と色々な意見が交わされていました。
私が感じたのは、ほめたり叱ったりと上司はなにかと忙しいものだということです。
それも部長や役員のように上級管理職ではなく、若手の部下を数人持つ係長クラスがとりわけ忙しそうだと思いました。初級の管理職は、比較的最近まで「指導される」側だったわけです。めでたく昇格し、「長」の付く立場になったとたん、指導する側にくるりと早変わりしなければならなくなります。
自分という実体は一切変わっていないのに、いきなり「立場」が変わるのですが、これがなかなかのカルチャーショックを引き起こします。
昨日までの後輩が部下になり、上司が同僚になるという対人関係の変化にまごつくのです。そして、会社が命令系統を持つ組織であることをしみじみと感じるのです。
実は、そんな瞬間こそ組織人として一皮むけるチャンスです。
ほめる、叱るというのは、上司―部下という断層があるからこそ有効に機能するスキルです。その技術を学ぶことは、単なる従業員から組織人になるための第一歩となります。
ただし、昇格を望まない人もいます。前回の「管理職になりたいですか」でも述べたように、仕事も忙しくなるのに、部下の指導までさせられるのはごめんだというわけです。部下指導というと、自分から一方的に行なう「持ち出し」のように思っているのかもしれません。
しかし、部下指導は「一方向」ではなく「双方向」の仕事です。上司と部下は地球と月のようにお互いの「引力」で動いています。地球(上司)が月(部下)を力任せに振り回しているわけではありません。
そして、その「引力」を構成する力の中に「感情」もあります。
「組織は感情で動く」とまでは言いませんが、ほめる、叱るという感情に関わるコミュニケーションが仕事に大きな影響を与えることは確かです。
こうした複雑なパワーを使う技を身につ行けることで、人は成長していくのだと思います。
この春に昇格した皆さん、なにかと忙しいとは思いますが、部下指導も自分の成長のための大きなステップなのです。頑張ってください!
(人材育成社)