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営業場面で慣用句の使い方

2016年07月27日 | コンサルティング

「営業部隊にメスを入れたい」

中小企業の社長からコンサルティングの依頼をいただく際に、このように言われることがあります。また、同じように「うちの営業は腰が引けていて」「営業に出かけていても、油を売っているのか、契約につながらない」というような言葉もよく聞きます。

これらは、いわゆる慣用句と言われる言葉で、2語以上の単語が結びついて、全く異なる意味を持つもので、定型句として用います。

弊社が行う営業コンサルティングの現場では、営業パーソンに対して、お客様から聞いた話に応じて次に続けるフレーズを、ある意味で慣用句的に覚えていただくことも行っています。

営業に使えるさまざまな慣用句を覚えていただくことによって、場面・場面に応じて適切に対応できるようになっていただくことを目的に行っているものです。

しかし、慣用句的なフレーズを覚えることにはプラスの面がある一方で、マイナス点もあると感じることがあります。

今年も7月初旬から、百貨店やスーパーをはじめとして多くの店でサマーセールが始まっています。それらの店の中で、特に衣料品を扱っているお店で頻繁に使われるフレーズが、「ご覧くださいませ」です。

しかし、この「ご覧くださいませ」が「えっ?」と思うような使い方をされている例が多く見かけられるのです。

お店に入ろうかどうか迷っている人に、「ご覧くださいませ」と声をかければ、お店に入ることを促すことになるかもしれません。でも、既に店に入って商品を手に取ったり体にあてていたりしている人に対しても「ご覧くださいませ」を連発されることがよくあります。

そういう場面では、内心「もう既にこうして見ていますよ」と思こともあるのですが、むしろ、このような場面では「ご用があれば、お声をおかけください」とか、「別の色もありますから、お出しいたしましょうか」などの言葉の方があっているように思います。

この例では顧客の状況に関係なく、「ご覧くださいませ」と声をかけるのが定型のセールストークになっているのでしょうし、本人も特に意識せずに声を掛けているのだろうと思います。同じような例は、身近でもたくさんあげられるのではないでしょうか。

でも、今の例のように、必ずしもそれが当てはまらない場面で使ってしまっていることもあるわけですから、慣用句のように「いつも使っているから大丈夫」とは思わずに、「この場面でこの言葉はおかしくないかな?」と振り返ってみることも必要だと思うのです。

冒頭の言葉を借りれば、営業場面のみならず、ときどきは自分の言葉づかいに「メスを入れてみる」ことも大事なのではないでしょうか。

(人材育成社)