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開票率1%で当選確実!?

2016年07月10日 | コンサルティング

国政選挙では、投票時間が終わってから10分もしないうちに「〇〇氏、当選確実」というニュースが流れます。「おいおい、いくらなんでも早すぎやしないか?だって、開票始まったばかりでしょ?」あるいは、「出口調査にしても、相当な人数に誰に投票したかを聞き出さないとわからないはず」という疑問をお持ちの方は多いと思います。

早々と「当確」が発表できるのは統計的推定、すなわち全体の中から一部を取り出して全体を知る手法があるからです。

「一部」のことをサンプル(標本)と言いますが、サンプルはランダム(無作為)に集めることが必要です

たとえば、料理人が大きな鍋で100人分のスープを作っているとします。その味を完璧に確かめようとすれば、鍋の中のスープを全て飲む必要があります。

しかし実際は、鍋をよくかき混ぜてスプーンに取って味見をするだけです。スプーンに取った少量のスープはサンプルです。もしよくかき混ぜなかったとしたら、スープ全体の味を正しく把握することはできないでしょう。

当確の出し方もこれによく似ています。よく混ぜる=選挙区の投票所に偏りなく調査員を配置すること、が必要です。

では、「一部」とはどれくらいの数が必要なのでしょうか。

答えは、当確ラインが1万票なら370票、10万票なら383票、100万票なら385票です。

おや?1万と100万とでほとんど変わらないじゃないかと思われたかもしれませんが、この程度の調査量で当確が推定ができます。もちろん、サンプルの数が多ければ多いほど正確に推定できるのですが、これだけの数でも95%の確度があります(理論的解説は※を参照してください)。

95%確実ということは5%は間違えている可能性もあるということですが、95%確実なら「当確」と言ってもほぼ間違いないでしょう。

また、国政選挙なら投票前の世論調査や過去のデータ等の情報と併せて、100人分くらいの出口調査結果があれば、ほぼ正確に「当確」が出せるのではないでしょうか(専門家ではないので自信はありませんが)

社会は考え方や嗜好がバラバラな個の集まりですが、全体を眺めてみると決してバラバラではなく、意外とシンプルな「かたち」をしているようです。選挙のたびにそのことを思い出します。

シンプルだからこそ、組織としてまとまるとパワーを発揮できるのでしょう。

※ 統計学入門−第1章

(人材育成社)