中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

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「買う気満々の顧客を取り逃がしていないか!」

2016年07月20日 | コンサルティング

私 「何度もお断りしていますが、必要ないです。」

営業パーソン 「電話するのは今日が初めてですが」

私 「あなたから電話をもらうのは初めてかもしれませんが、これまでに何度もお宅の会社から電話があって、その都度断っています」

営業パーソン「・・・」

これは、繰り返し弊社へ売り込みの電話をかけてくる営業パーソンと、私のやりとりです。弊社ではその会社がセールスしているサービスが必要ないため、これまで何度も断っているのですが、それでも繰り返し電話がかかってきます。今後もし、そのサービスの必要性が出てきたとしても、あまりにもしつこく電話をされたので、この会社のものだけは買いたくないという気持ちになっています。

何より、「何度も断わられている」という情報が社内で共有されていないことが問題ですし、さらにしつこく営業電話をかけさせるこの会社の営業方針にも違和感があります。

話は変わりますが、先日、自宅にある建具を取り付けたいと思い、建材メーカー2社に問い合わせをしました。後日、各々の会社の営業マンが自宅にやってきて、取り付け箇所の採寸等を行い、見積もりを出してもらうことになりました。

1社(A社)は40代とおぼしき年齢の営業マンが1人で来訪したのですが、商品カタログを持参していないばかりか、私の質問に対しても「最近転職したばかりなので、よくわかりません」との返事。見積りを「後日に郵送します」と言って帰りました。

しかし、その後1週間が経過しても見積もりが届かなかったので、こちらから催促するとようやく見積書のみが封入されて郵便受けに入っていました。結局、こちらの質問に対しての返答はありませんでした。

一方、もう1社(B社)は販売業者と工事業者とメーカー社員の3人でやってきました。こちらは商品カタログとサンプル品を持参していて、約束通り1週間と少ししてから、見積書が郵送されてきました。

2社の訪問を受けた直後は、いろいろな面でB社の方が熱心に感じましたので、B社に軍配があがっていたのです。その後、両社の見積もりを確認するとほぼ同額だったのですが、いずれも想定していたよりもかなり高額だったため、すぐにどちらかに決断できず、結論を先送りにしたまま既に1か月以上が経過しました。

しかし、見積書が送られてきた後は、どちらの会社からも何の連絡もありません。

当初、我が家はすぐにでも建具を取り付けたかったこともあり、購入する気満々でこちらから両社に電話をしたので、売り手からすればかなりの有望顧客であるはずです。しかし、いまだにどちらからも、なしのつぶての状態が続いています。

もし、このタイミングでどちらか一方からでも、「見積書は確認していただけましたでしょうか?ご質問はありませんか?」と連絡が入れば、即座に購入決定の運びになったのではと思うのですが、結局、何の連絡もない状態が続いているので、今では購入する気がだんだん薄れてきてしまっており、自分のことながら「何とももったいないな」と思っているのです。

さて、弊社では様々な中小企業の社長から、「売れなくい営業マンが多くて、困っている。売れる営業マンにしたいのだが、どうすればよいだろうか」という相談をいただくことが度々あります。

そういうときには、「売れない営業に対して、どのように指導しているのですか?」と質問するのですが、「発破をかけているんだけれどね、なかなか効果が出ないんだよ」との答が返ってくることが多いのです。

「発破をかける」とは、もともとは鉱山や土木工事などで爆薬を使って爆破する意味の言葉ですが、例えとして激しく力強い言葉をかけ、気合いを入れることにも使われます。

皆さん、発破をかけ気合いを入れることには熱心のようですが、残念ながら社長が気合いを入れるだけでは、営業マンはなかなか売れるようにはなりません。

冒頭の繰り返し営業電話をかけてくる営業パーソンも、おそらくは社長から「売れ、売れ!」と発破をかけられて、しつこく電話をかけてきているのかもしれませんが、この会社は売る仕組みがないまま、営業という仕事を営業パーソン個人に任せきりにしています。

そして、なかなか売れない営業パーソンは何をどうすればよいのかわからないままに、空回りの営業をしているのです。しかし、売れないには売れないだけの理由があります。その原因を明らかにせずに、ただただ叱咤激励や発破をかけることを繰り返しても、決して売れるようにはなりません。

「ただ売ることだけを強要していないか」、同じような悩みを持ちつつ発破をかけ続けている経営者の皆さんは、一度立ち止まって一体何が原因なのか、どうすればいいのかをじっくり考えるとともに、専門家のアドバイスを受けてみる必要もあるのではないでしょうか。

そうしないと、我が家に来た営業マンのように、せっかく目の前に買う気満々の顧客がいても、それを取り逃がすことになってしまいません。

「逃した魚は大きかった」と嘆くことがないようにしたいですね。

(人材育成社)