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大学に営業学部を!

2016年07月17日 | コンサルティング

文科省の文部科学統計要覧(平成27年版)によると日本の大学生数は約250万人だそうです。うち社会科学系学部が32.7%と最も大きい割合を占め、次いで工学系が15.2%、人文科学系が14.5%、保健9.2%、教育7.3%、理学3.2%と続きます。

理系の学部で行われている教育は分野ごとにかなり細分化され、専門性が高くなっています。そのため卒業生の多くは大学院まで進学します。また、教育や保健、芸術といった学部は進路が比較的はっきりしており、専門性が高い分野です。

一方、いわゆる「文系」は学問的な専門性が低いのが特徴です。特に経済学部は「勉強しなくても卒業できる」学部の代表格です。嘘だと思うなら現役の経済学部の学生に「専門はなにか?」と聞いた後でちょっと質問をしてみてください。

私  「君は経済学部だね。どんな勉強しているの?」
学生 「えーと、マクロ経済学です。」
私  「じゃあ、一般理論(雇用・利子および貨幣の一般理論)は知ってるよね?」
学生 「ああ、ディケンズが書いた・・・」
私  「ううっ・・ケインズだね。ディケンズが書いたのはクリスマス・キャロルだよ。」
学生 「そうなんですか。」
私  「国民所得をY=C+Iとして乗数効果を説明してみて。」
学生 「いや、数学は使わないんで・・・」
私  「数学って・・・」

「私」となっているのは、本当は私の友人なのですが、このやりとりは実話です。しかもこの学生は某国立大学生です。

さて、こうした「文系」は大学生の約半数、120万人になります。中には弁護士や会計士を目指して猛烈に勉強に励んでいる学生もたくさんいますが、多くの文系大学生はほとんど専門知識を身に付けないまま卒業していきます。

そして、就職試験の面接でこう言うのです。「企画がやりたいです」、「広報を希望します」、「経営企画に興味があります」。しかし、企画、広報などの職種に就けるのはおそらく0.5%程度でしょう。

では99.5%はどうなるのでしょう。20%弱は人事、総務、経理などの「地味な」スタッフ部門に、残りの80%は営業職に就きます。

そうです、経済、商、経営、社会、法などの社会科学系の大学生はほとんどが営業部門に配属され「セールス・パーソン」になります。

そう考えると、大学が社会の要請に応えるためには、現在の社会科学系学部の定員を現在の20%程度に減らし、80%の学生は「営業学部」で学んでもらう必要があると思います。

もちろん「経済、商、経営、社会、法」は学科として残し、専門分野を深堀することで世界水準の実現を目指します。学生数は大幅に減りますが、合計で24万人ですから、現在の理学部の3倍にもなります。

「営業学などを高等教育で学ぶべき学問ではない」とお考えの方は、営業という職種を低く見ているからです。職業に貴賤上下がないのと同じように、職種にも貴賤上下はありません。

営業学は円滑な商取引を実現することで社会の発展に大きく寄与します。経済学から見れば最適な資源配分を実現し、法学から見れば合法的な取引を実現します。これこそ社会科学そのものではないでしょうか。

しかし、営業学部を実現することは難しいかもしれません。

文科省も多くの大学教授も「営業」の重要性、社会的価値を十分に理解していないからです。

(人材育成社)