「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。
今回は、このブログで度々取り上げているOJT(On-the-Job Training)の定義について、あらためて確認しておきたいと思います。
立教大学経営学部教授の中原淳先生のブログからの引用になりますが、「日本には『OJT信仰』や『手放しのOJT礼賛』が存在している」と述べ、その反面「OJTの悪いところ、制約、脆弱性、そして成立条件などのシビアな側面が、あまり着目されないのです」と指摘しています。
そして、OJTの脆弱性として次の点を挙げています。
(1) OJTの学習効果は「師」に依存する
(2) OJTは原則的に「師と部下間」の閉じられた学び
(3) 学習の起こるタイミングが「偶然」に依存する
(4) OJTはともすれば「単なる労働」に変わり果てる
・・・若干捕捉しますと、(1)は「師の能力を超えることは学べない」つまり教える側のレベルが低いと機能しない、(2)はOJTは「師-部下」で行われるため外部から第三者が介入を行うことは難しい、(3)は教えるタイミングは部下がミスをしたときなどの「偶然」による、(4)は職場が忙しかったりプレッシャーがあったりすると意図せず「学びもクソもへったくりもない単なる労働」に堕す、というわけです。
正直、いまだにOJTをこんな低レベルで考えている大学教授がいるのか!と驚愕しました。しかし、おそらくそれは本意ではなく、古い体質の日本企業が「経験主義」や「現場主義」に拘泥し、OJTを正しく解釈していないことをおちょくっているのだと思い直しました。そのように考えれば、まったくその通りだと思います。
当社は民間企業、自治体などを含め、百数十社の研修やコンサルティングに関わらせていただきましたが、たしかにそのような「OJT=現場に丸投げ」といった会社がほとんどでした。
「うちはOJTで新人を育てています」と堂々と言っている会社の幹部の方々に「では、OJTを具体的に定義してください」と言うと「現場で人を育てること」で終わりです。
ここではっきりしておきたいのですが「OJT=現場教育」では不十分です。「チョコレートとは何ですか?」という質問に「それは食べ物だよ」と答えるようなものです。そんなことはわかっています。
本来ならば、実効性があり、かつ正しいOJTの定義を大学の先生がきちんと示してくれるとありがたいのですが・・・。
当社が、様々な文献を当たってたどり着いた「OJTの正しい定義」は、何度か書いていますが元・法政大学教授の桐村晋次先生による次のようなものです。
上司が部下の職務に必要な能力(知識・技能および態度)の向上・改善を目的として、仕事を通じて行う、(1)計画的、(2)合目的、(3)継続的、かつ(4)組織的な教育活動です。(「人材育成の進め方」日経文庫、桐村晋次著、1985) ※(1)~(4)の番号は当社がふりました。
いかがでしょうか、この4点を正しく解釈して実行すれば、前述の中原先生のようなバカバカしい指摘を(わざと)する必要はありません。
「働き方改革」が本格化した矢先にテレワークに対応せざるを得なくなった経営者の皆様、OJTが会社を救います。具体的な処方箋は、今後このブログや雑誌への寄稿、書籍などで明らかにしてまいります。
当社は「OJTが会社を救う!」をスローガンに掲げ、皆様の会社を「すべての社員がイキイキ働くようになる」ことを目指します。