「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。
「君は見ているけれど、観察はしていないんだよ」
これは、名探偵シャーロック・ホームズが助手のワトスンに発したという有名な言葉です。シャーロック・ホームズファンでなくても、ご存知の方も多いと思います。
さて、新型コロナウイルスの影響でテレワークの普及が進んでいます。日経BizGateのアンケートで、新型コロナ禍が収束した後にどんな働き方をしたいかについて調査しています。その結果「テレワーク中心にオフィスでも働く」が35.1%、「テレワークだけで働く」が3.9%と、テレワーク中心の働き方をしたい人が39.0%に達したとのことです。
このように、我々ビジネスパーソンにとってテレワークが身近なものになりつつあります。そうした中、先日あるオンライン会議をした管理者の方から、テレワークのデメリットの一つとして、対面が圧倒的に少なくなるため、部下を育成するのは難しいとの話を伺いました。
確かに、部下の育成に関して言えば、オンラインやメールで行える部分もありますが、対面ならではの良さ・強みがあります。
そこで、対面で行う場合にぜひ行っていただきたいのが、部下を「しっかりと観察する」ことです。冒頭のホームズの言葉が示す通り、観察をするのは案外難しいものです。人は関心がある人間に対しては意識しなくても自然と観察していますが、反対にあまり関心を持てない人間に対しては、あえて意識をしないと細部まで注意深く観察することは難しいです。
そこでお勧めしたいのが、まず「いつもの状態」「ふつうの状態」をきちんと把握し、その「いつも」や「ふつう」からのわずかな変化に気づくという方法です。
この点、オンラインでは体のみぞおちから上の部分しか見えないことが多いため、状態を把握しづらい面がありますが、対面であれば部下の細かい部分もしっかり確認することができます。特に歩き方や姿勢には、考えていることや感じていることの変化が反映されることがありますから、きちんと確認して把握しておくことが大切です。これがホームズのいう「見ているだけ」から「観察する」ことになるのです。
ですから、次に部下に対面する際には、ぜひ「いつもの状態」「ふつうの状態」をしっかり観察することから始めてみてください。しかし、そうはいっても普段から「観察する」ことに慣れていない上司の皆さんにとっては、「いつも」や「普通」の状態をきちんとキャッチすることは難しいかもしれません。そのような場合には、まずは部下を「5分間しっかりと見る」ことから始めてみてください。それを繰り返すことで、部下の「いつも」や「普通」の状態とは異なる状態が起こった際に気づくことができるのです。
新型コロナ禍の収束後、大きく変わるであろうビジネス環境の中でも観察力の重要性は変わることはないと思いますが、これは一長一短で身につくものではありません。筋トレをするように時間をかけて少しずつ、着実に身につけていただければと思います。必ずいつか結果が期待できます。