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緊急経済対策に基づいて、全国の世帯に向けて一住所あたり2枚ずつ配られる布製マスク。昨日(5月12日)、厚生労働省医療局経済課(マスク等物資対策班)名義で我が家にも届きました。
このマスク、「アベノマスク」と揶揄されているように評判はあまり芳しくないようです。446億円もの経費は医療体制の整備などもっと他に有効に使うべきだといった声をはじめ、様々に批判されています。厚生労働省によると、配布は直近で4パーセント程度にとどまっているとのことです。ようやく届いたマスクですが、報道によると市場には変化があり、先週あたりからマスクが店舗に並ぶようになり、比較的手に入りやすくなっているようです。
物事には適正なタイミング、「旬」といったものがあり、そこを逃してしまうと意味がなくなるどころか、下手をするとマイナスにさえなってしまうこともあります。それではこのマスクの配付には、具体的にはどういう問題があるのでしょうか。
それは、仕事を進めるうえでの制約条件がすべてかなっていないということではないでしょうか。仕事とは「QCD(品質、コスト、納期)の制約のもとで、成果物(アウトプット)を生み出すこと」と言えます。具体的には、QとはQualityのことで、品質仕事の成果物に求められる水準です。仕事の完成度とも言えます。CはCostで利用可能な経営資源(ヒト・モノ・カネ)。経費、人件費などのことを言います。DはDeliveryで仕事の締め切りのこと、仕事を仕上げて依頼者に渡すまでの時間を指すわけです。
この観点で言うと、まず品質が無視されていました。おそらく時間のない中で急に決まった話で、業者の準備も十分ではなかったのでしょう。配布されるや否や、すぐに虫や髪の毛の混入やら汚れが見つかるなどで、すぐに検品を強化するために回収されました。また、ようやく届いたマスクは不織布の使い捨てマスクに慣れている者にとってはサイズが少々小さいのではないでしょうか。
次にコストについては、466億もの高額な税金を使っただけでなく、回収という二度手間により余計な経費がかかってしまいました。
最後に納期ですが、各世帯への配布は当初の予定から大幅に遅れることとなった結果、既に市場にマスクが出回るようになり、以前と比べて手に入りやすくなってきています。そのため、今となっては有難味が大きく薄れてしまっています。
以上により、結果的に仕事の制約条件を全く無視した仕事になってしまったということです。
そして、言うまでもないことですが、このことはビジネスの世界でも全く同じです。
緊急事態宣言以降、経済活動を抑えている状況が続いていますが、ここ数日は緊急事態宣言解除に向けた動きが盛んに報道されており、今後企業活動も段階的に再開されていくことになりそうです。
その時に「何について、どのタイミングで、どの順番で手を付けていくのか」等を今からしっかり決めておかなければスタートが遅れてしまいます。その結果、それでチャンスを逃すことになってしまったり、制約条件に則った仕事ができなくなったりします。
コロナ自粛後の経済活動の在り方がどうなるのか、見通すことはなかなか難しいです。しかし、スタートダッシュのタイミングを逃さないように、また漏れのないようにするために、「出口戦略」を明確にしておかなければなりません。
さて、あなたの会社ではタイミングを逃さないために準備は進んでいますか?