「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。
「コロナウイルス対策でシフト勤務が続いているため、職場の情報共有はラインを使っています。全員が一度に顔を合わせることが少なくなったため情報共有を懸念していましたが、想像していたよりも部下がまめに書き込みをしてくれるので、管理職としては助かっています」
これは先日、ある知り合いの管理職から聞いた言葉です。緊急事態宣言によって急遽在宅勤務が中心となり、全メンバーが揃うことがかなわなくなりました。しかしこうした状況の中、逆に個々のメンバーが情報共有の重要性を再認識したそうで、自分が出社しないときに他のメンバーが困らないように、主体的・積極的に情報発信するようになったとのことです。
しかし、この管理職の話によると「ここに来て新たな問題が発生した」とのことで、次のように話してくれました。
「積極的にラインに書き込みをしてくれるのは良いのですが、メッセージの意味がわからないときがあるんですよ。たとえば、読み終えたときに報告なのか相談されているのかがよくわからなかったり、事実を言っているのか感想を言っているのかがわからなかったりするんです。結局、こちらから事態を把握するために何度もメッセージを送らなければならなくなったりするので、それが結構手間です」とのことでした。
ラインに限らずメールやチャットなどテキストコミュニケーションは、情報を共有するのに非常に有効なツールです。今後、テレワークやシフト勤務においてますますニーズが高まることと思いますが、そこで大切なことは読み手に誤解されることがないように適切な文章を書くことです。
組織行動研究所が2020年3月末に行った「テレワークに関する実態調査」では、「テレワーク環境下で必要度が高まると思うスキル、またそれを自分ができていると思うかどうか」を尋ねています。その結果、最も必要度が高まると考えられているのは「文章を通じたコミュニケーションのスキル」で79.0%でした。また、「自分ができている」とした人は43%だったとのことです。
この調査からは、今後もますます文章を通じたコミュニケーションが重要になってくること、また自己の文章に問題意識を持っている人が多いということがわかります。
端的に相手に伝わる文章を書けるようになることは、一朝一夕に簡単にできるものではありません。しかし、そのための文章力が身につくのを待っていると、今の情報共有に支障が出てしまうことにもなりかねません。
そこでお勧めしたいのは、文章力を個々の能力に任せるのではなく、フォーマット化してしまうことです。情報を発信する際には、たとえば5W1Hを明確にすることをルールにする。もし5W1Hでは負担が大きいということであれば、2W1Hくらいに簡略化したりしてしまうのです。
こうすることで情報がきちんと整理されて伝えることができるので、読み手側の負担を減らしたり、誤解されたりすることを減らすことができるのです。
今後、働き方が大きく変わっていく中で、これまで想像していなかった課題がいろいろと出てくることでしょう。
その際にはぜひ、前述のように一つずつより良い方法を探って、試してみることをお勧めします。それを粘り強く繰り返すことが、生産性の向上につながる一歩なのです。