「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。
私は、人材という言葉をどう定義するかいつも考えています。よくあるのは「じんざい」には4つある、というやつです。会社にとって「人財」は一番優れていて「人材」はその次。「人在」は役に立たず「人罪」はむしろ害悪である、といったところでしょうか。
「会社にとって」という視点から考えれば4つの「じんざい」は分かりやすい定義かもしれません。分けることは分かること、と言う人もいます。
とはいえ、私から言わせれば単なる4段階評価に過ぎません。むしろ5段階評価や偏差値の方がはるかに有用です。
「いやいや、評価じゃなくてもっと意味が深いものだよ」ある中小企業の経営者の方から言われたことがあります。そこで「どう深いのですか?」と聞いたのですが、やはり4段階評価にしか思えませんでした。
私は「4つのじんざい論」を否定するものではありません。「ほうれんそう」(報告・連絡・相談)のように覚えやすい言い方だと思います。ただし、4つに振り分けられる立場、つまり従業員のことをよく考えなければなりません。
上司に「人財」と言われた社員は悪い気はしませんが、「人在」とか「人罪」といったレッテルを貼られたらどう思うでしょう。
この4つに社員を振り分けるとすれば、具体的かつ客観的な判断基準が不可欠です。そうなるとやはり定量的な物差しを作る必要があります。結局は4段階評価になります。
「なにもそこまで厳密に言っているわけじゃない。単純に4つの見方があるということを社員に知っておいて欲しいだけだよ」先ほどの経営者の方の言葉です。つまり、あくまでも主観的な表現方法だというわけです。
それならそれで結構ですが、社員にとっては「おもしろいなあ」というだけで終わりです。すぐに忘れてしまうことでしょう。
たまに人事部門の組織で「人財」を使う会社があります。「社員を大切にしているよ」という経営者からのメッセージとしては良いのですが、社員にとっては「どうでもいいこと」です。
それを勘違いして「4つのじんざい」に入れ込んで「社員は人財になれ」とか「人罪は不要だ」とか言ったりするのは危険です。
まして、悪質な研修会社に大事な社員教育をやらせて「お前は人罪だ!」などと言わせるとしたら、経営者の方が人罪です。