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第1,058話 研修アンケートに名前を出してほしい理由

2021年09月22日 | 研修

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

「アンケートは名前を伏せてお知らせします」

これは、コロナ禍で研修が対面からオンラインへ移行するようになってから、研修終了後にアンケートの送付をお願いしたときに、研修のご担当者様から言われることが多くなった言葉です。対面で研修を行っていた際は、記入いただいたものを研修会場で直接拝見していましたが、オンラインではそれがしづらくなったために、後日の送付とされることが多くなったのです。

それでは、なぜアンケートの記入者の名前を伏せることが多いのでしょうか?何度かその理由をお尋ねしたことがありますが、特に明確な理由はないようでした。

反対に、なぜ講師の側が名前を伏せないでほしいと考えているかというと、その理由は次のようになります。

それは、誰がアンケートを記入したのかは研修を振り返る上で、とても重要な情報だからなのです。アンケートの記述欄には実に様々な感想が書かれています。たとえば同じ会社の同じ階層の人が受講したとてしても、その評価は実に様々です。有効だったという人がいる一方で、有効でなかったという人がいるときもあります。進行のスピード、プログラムの内容、プログラムのレベル、実務への活用の有効性なども同様で、プラスの感想がある一方で、少数ではあってもマイナスの感想を持つ人がいるのも当然のことです。

では、どうしてそういうことが起きるのでしょうか?

個々の受講者の考え方や有している知識・スキル、経験によって当然感想や評価は変わります。また、それ以外にも担当している仕事の研修時点の繁閑も感想に影響します。繁忙期の研修参加となると気持ちに余裕がないため、なかなか研修に集中できなかったりするのはやむを得ないことかもしれません。さらに、当日のグループのメンバー構成によっても話し合いが盛り上がったりそうではなかったりします。こうした様々な要因で、研修の評価は大きく影響を受けるのです。

こうした背景も含めて、アンケートに記述された感想は次回の研修を企画・改善する際に非常に有効な情報となります。たとえば、保有しているスキルや知識が多く積極的に研修に参加していた人が、研修が理解しにくく進行も速すぎてついて行くのが大変だったと書いていたら、内容や進行に改善の余地があると考えられます。しかし、そうしたときに誰がどのような感想を持ったかがわからない(つながらない)と、そうした感想を持つに至った要因の分析が非常に困難になってしまい、結果として次に向けた新しい企画や改善が難しくなってしまうのです。

研修の感想・評価を踏まえ、次にどこに照準を合わせるか、どのように内容を改善するかなど、講師は絶えず研修をより良くするように取り組んでいます。ぜひ、アンケートは名前を伏せずにいただけると大変ありがたいのです。

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