「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。
「今年度は20名弱が入社する予定ですが、入社式は実施しません。」
これは、先日ある企業の経営者からお聞きした言葉です。もう少し詳しく知りたいと思い、さらに伺ったところ、この経営者は「入社式は、本来はオンラインではなく対面で行うことが望ましい。しかし、一堂に集まることは感染リスクにつながるため中止にする」と判断したとのことでした。
さて、あなたの会社では今年の入社式は実施する予定でしょうか?
株式会社ディスコが2月に行った調査によると、今年の入社式を実施予定の企業は全体の8割強(84,2%)。入社式の形式は「リアル・会場型のみ」が7割強(76,2%)、オンラインのみでの実施は1割未満(6,9%)とのことです。コロナ禍での入社式の実施に関しては、いろいろな考え方があると思いますので、一概にどういう選択が良い・悪いと判断できるものではありません。
しかし、私は入社式の実施の有無にかかわらず、経営者として新入社員に何らかのメッセージを届けることがとても大切だと考えています。
そこで、一つ思い出す事例があります。昨年報道された時から印象に残っているのが、伊藤忠商事の新入社員の初出社日に、会長CEO自らが社屋の1階で120名の新入社員一人ずつを出迎えたというものです。
先日(3月8日)の日経新聞には、まさにこの会長CEO自らの言葉が紹介されていました。「せっかく希望をもってわが社に来てくれた若者たちに、『やっぱり伊藤忠に入ってよかったな』と思ってもらえるようなことが何かできないかと考えた」とのこと。
これを読んで感じたのが、入社式が対面型かオンライン型かという形式にこだわるよりも、経営者が入社式で新入社員に何を伝えたいのかがとても大切だということです。
たとえば、会社の理念を伝えたいと考えるのか、中長期のビジョンなのか、自社が存在する意義なのか、また新入社員に何を期待しているのか、どのような社員になってほしいのか、将来どのように活躍してほしいと考えているのか、などメッセージとして何を伝えたいのかを明らかにし、それを自らの言葉で伝えることこそが大切であり、必要だと思うのです。
冒頭に紹介した会社のように、もし入社式は行わないとするのであれば、伊藤忠商事の例のように社長が新入社員一人一人と向き合う時間を別途設けるのもよいでしょうし、また文章でメッセージを送る方法もあるかもしれません。
どのような形でも構いませんので、ぜひトップが自らの言葉でメッセージを送っていただきたいと思います。そうすることで新入社員がこの会社で頑張ろうと前向きな気持ちを持つことにつながっていくはずです。
因みに、伊藤忠商事のCEOは今年の新入社員をどのように迎えるかについては、「昨年と同じことをやっていたのでは進歩がない。(途中省略)今年はどんな演出で彼ら彼女らを迎えようか、今から思案している」とのことです。
4月1日以降に報道されることと思いますが、一体どういう演出をするのか外部の者としても今から楽しみにしています。