中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

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管理職が会社を辞めるとき

2018年10月07日 | コンサルティング

管理職が辞めてしまうことは、会社にとって非常に大きな損失です。また、経営者にとっては「裏切られた」という思いを強くすることでしょう。ある会社の社長と打ち合わせをしていたときのことです。「実は、御社との窓口を担当する予定だったA部長が先月末に会社を辞めまして・・・」そう言うと少し顔を曇らせ、次のように話すのでした。

「昨年、A君を部長に昇格させて営業部を任せたのですが、どうも、その・・・上手く行っていなかったようで・・・2ヶ月ほど前からそれとなく辞めたいという言葉を口にするようになっていました。」

「辞めたいなんて冗談だろうと思っていましたよ。だって、私はA君のことを誰よりも高く評価してきたんですから。人事評価も最高点を付け、部下の人数を増やし、ボーナスもかなりはずんできました。」

「部長に昇格すれば、当然もっとやる気になってくれると思っていたのに・・・はっきり言って裏切られた気持ちです。」

私は社長に同情しつつも、A部長に対して具体的にどのような支援を行ってきたのかを聞いてみました。

「え?だから、給料を目一杯上げて・・・」と言い始めた社長に、私は「そうではなく、部長という職務を遂行するために必要な知識やスキルを身に付けさせるような何かをしましたか?」と聞いてみました。

すると社長は少し笑いながらこう言ったのです。「そりゃあ、おたくは研修会社だから部長研修をやったのかとでも言いたいのでしょう。でも、まがりなりにも部長ですよ。いまさら学校の勉強みたいな真似は必要ないです。A君の働きぶりを見ていればわかります。」

私は「残念ながらそのお考えがAさんを追い詰めたのです」と言いました。社長は「理解できない・・・」と言うと黙り込んでしまいました。

管理職に昇格すると、今までとは全く違った多くの、それも責任ある仕事が増えます。部下をやる気にさせ、職場全体の数字を達成しなければならないし、他部署との調整や揉め事の処理など面倒な仕事もこなさなければなりません。

こうした様々な重圧に加え、社長をはじめ役員からのプレッシャーがのしかかってきます。今日から部長だから頑張れ!などと言われても、真面目な人ほど途方にくれてしまうことでしょう。

当社は管理職研修を多くの会社で行っています。そのとき、中途入社の方も受講者となることがありますが、先ほどのA氏のように前の会社でも管理職だった方がほとんどです。そうした方々がよく口にするのは「マネジメントの考え方や手法をはじめて勉強しました。いかに自己流でやっていたことが間違っていたのか、よくわかりました!」という言葉です。

さて経営者の皆さん、まさかとは思いますが、給料をアップして、大きな机と肘掛け(ひじかけ)椅子に座らせ、「〇〇長」と書かれた名刺を渡せば、どんな人間でもその日から管理職の仕事を「自動的に」始めると思っていませんか?

もしそう思っているとしたら、あなたの会社の管理職が辞める日はそう遠くはないでしょう。

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