「どうだ!綺麗だろう。」と言わんばかりの表情で、一杯に羽を広げているのはインドクジャクの雄。確かに、ため息をついてしまうくらいの美しい青藍色ですね。
インドクジャクの雄は大きく鮮やかな飾り羽を持ち、それを扇状に開いて雌を誘う姿が有名です。邪気を払う象徴として、孔雀明王の名で仏教の信仰対象にも取り入れられるようになったのは、サソリ等の毒虫や毒蛇類を好んで食べるため、益鳥として尊ばれたことが転じたのだそうです。
インドクジャクの美しさの度合いは、羽の模様の数により、多いほど美しいされているようです。このように、とてもきれいな羽を持つ雄のインドクジャクですが、同じようにきれいな羽を持っていても、その中で「もてる雄」と「そうでない雄」がいるのだそうです。人間界でもハンサムな人が皆もてるわけでないのと同じですね。
ポイントは、羽を広げてその美しさをアピールすること。もてる雄は、2時間に17回羽を広げたのに対して、そうでない雄は7回しか羽を広げなかったそうで、その数にはずいぶんと差があります。
どんなに美しくても、ただ黙って待っているだけではいけないということ。つまりは、インドクジャクも人間も、受け身でいては相手には伝わらないということで、積極的に自分をアピールすることが大事ということです。
もてる要素は他にもあります。よく鳴くこともメスに選ばれるためのアピールポイントになるとのことで、それは、男性ホルモンが活発ということを示すためだとか。
それでは、インドクジャクは一体どういう声で鳴くのか?独特の甲高い声で、ネコの鳴き声に近いようで、オノマトペで表現すると「イヤーン、イヤーン」「キーオウ、キーオウ」と鳴くそうです。
インドクジャクも雌を射止めるためには、羽を広げることにより視覚に訴え、声を出して言語を使う。つまりは、きちんとコミュニケーションをとらなけなければいけないということなのでしょう。
最近、日本では、「草食男子」なる言葉ができました。昔?と比べると、男性が肉食から草食動物のようにおとなしくなったということの例えに使われていますが、インドクジャクの雌に対するアタックを聞くと、男子諸君、負けてはいられませんよね!
でも、実はこのお話、女性を射止めるだけのことではありません。組織においては勿論のこと、社会で生きていく上で、性別に関係なく自ら積極的に動くことが大事だということに通じる話だと思います。
まさに、今、求められている「自律型人材」の例をインドクジャクのコミュニケーションから学んだような気がしています。さあ羽を広げて、声を出そう!
なお、このインドクジャクのお話、6月30日のNHK「ダーウィンが来た」で放映されるようです。
(人材育成社)