以前にも書きましたが、研修講師になるための資格試験はありませんし、学歴も経験にもこれといった基準はありません。「自分は講師である」と宣言すれば、誰でもなれます※。
研修業界とは参入障壁の全くない業界なのです。そのためこの業界には「ダメ講師」がたくさんいます。
ここでは、クライアント企業が研修費用として投じたコストを無駄にしないために、こうしたダメな講師を見抜くコツをお教えします。
今回は、ダメ講師のなかでも比較的数の多い「押つけ講師」について解説いたします。
「押つけ講師」は知識・経験が豊富ですが、それに固執した一方通行の研修を行います。
このタイプは大企業の管理職経験者に多く、おおむねプライドが高くいつも自信満々です。一般に、受講者を見下す傾向が見られます。もしもクライアント企業がかつて自分が勤めていた会社より小さいと、その傾向はさらに顕著になります。
「私はこのやり方で100%成功してきた」、「そのやり方は間違っている」、「考えるだけ無駄だ」などの言葉を多く発します。
こうした研修は、学ぶところが無いわけではありませんが、ほとんどは自慢話を聞かされるだけで時間の浪費となります。
「押つけ講師」を採用しないためには必ず事前に面談し、チェックしておかなければなりません。
面談の際に「当社の売上高はいくらかご存知でしょうか?」、「従業員数は?」、「主力商品名は?」などの質問を講師にしてみてください。
「そんなことは研修内容とは関係が無い!」などと逆切れしたら、「押つけ講師」と思って間違いありません。
また、「私は忙しいので、そんなことをいちいち調べている暇はないのです」などと居直ったら、さらに輪をかけてたちの悪い講師です。
なぜなら、例に挙げた質問はほんの5分もあればホームページで確認できることばかりです。それさえも事前に調べようとしないのですから、研修する相手に全く興味がないか見下している証拠です。
くれぐれもご注意を!
(人材育成社)