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特許をめぐる話題:「職務発明」の帰属は企業に

2014年09月03日 | コンサルティング

新聞によると、政府は会社員が業務として開発した「職務発明」の特許を企業が持つように法改正する検討に入ったそうです。

特許については、ほとんどの人は「なんとなく」知っている程度だと思います。一方、大手のメーカに勤務している技術者の中には「ちょっと面倒くさい書類」を思い浮かべる人もいることでしょう。

実際に、理工系の大学からメーカに入るとすぐに特許明細書の書き方を仕込まれます。明細書とは特許の内容を説明する書類です。ルールが厳密で、曖昧さが許されない、結構手間のかかる書類です。

もう30年も前になりますが、私の友人の家電メーカの技術者が「上司がいつも特許を書け、書けって、うるさくてさ。先日も特許合宿とかで2泊3日、研修所に閉じ込められていたよ。」と愚痴っていたのを思い出します。

さて、「特許の帰属が企業に」という今回の話題は、一見技術者のモチベーションを下げてしまうように思えるかもしれません。もちろん、多少はそういう部分もあるでしょう。

しかし、企業に勤める技術者が「仕事の一環で」特許を書いているという当たり前の事実を忘れてはなりません。

給料をもらって、会社の高価な設備を使い、仕事として特許を生み出しているのです。しかも、特許申請にかかる費用は国内だけで1件数十万円、海外特許ともなれば百万円以上かかります。来年から「特許異議の申立て制度」が復活しますし、自社特許が侵害された時、相手を訴えても「無効の抗弁」で返り討ちにされてしまうかもしれません。

企業としては、かなりのコストとリスクを負担していることがお分かり頂けると思います。その部分を法改正によってはっきりさせておこう、というのが今回の狙いなのではないでしょうか。

さらに、多くの会社には特許に対して報奨金制度もあります。従って、ほとんどの技術者にとっては、今回の法改正は何の変化ももたらさないでしょう。

最後に、大きな変化が起こる可能性についてひと言。

「青色発光ダイオード」や「人工甘味料アスパルテームの製造法」など、桁違いの利益を生み出す可能性を秘めた特許を書く自信のある人にとっては、まさに絶好のチャンス到来です。

法改正によって不満を感じる技術者たちに目をつけて、報奨金をうんとはずんでくれる会社が間違いなく現れるでしょう。特許1つで数億円を手にするチャンスが、今よりもずっと増えてくると思います。

自信と度胸のある技術者の方は、挑戦してみてはいかがでしょうか。

 ※ 図はキルビー特許に示された「半導体チップ」

(人材育成社)

 


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