「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。
2020年の日本の時間当たりの労働生産性(日本生産性本部)は、経済協力開発機構(OECD)加盟38カ国中23位と順位を下げたとのことです。この数十年はほぼ20~21位で推移していましたが、ここにきて1970年以降最低の順位になったそうです。
新型コロナウイルス感染拡大下の2021年4~6月期の労働生産性でも、38カ国中半数以上がコロナ以前(19年4~6月期)と比べてプラスだったのに対して、日本はマイナス2.8%だったそうです。その要因の一つには、「柔軟な働き方への準備不足」があるとのことです。(2022年1月17日 日本経済新聞)
ところで、この労働生産性の国際比較で14位に位置しているのが北欧フィンランドで、毎年ほぼこの順位をキープしています。このたび、「フィンランド人はなぜ午後4時に仕事が終わるのか」(堀内都喜子 ポプラ社) を読む機会がありましたが、それによるとフィンランドでは午後4時には仕事が終わり、残業もほとんどしない(仮に残業をしたら、その分の時間をまとめて休暇として取得する)し、有給休暇の消化率も100%。さらに、夏季には1か月以上の長期連続休暇をとる。このように休暇にこだわっても、1人あたりのGDPは日本の1.25倍、最新の幸福度ランキングも2年連続で世界一とのことです。
なぜこのような結果を出せているのかについては、休みに対する考え方の違い、アウトドアやサウナへの愛着、硬派で諦めない強い気持ちを表す「シス」、フィンランドのシンプルで心地よいライフスタイルを表す言葉である「ムカヴァ」、サスティナブルな社会づくりなど、フィンランドのもともとの文化や志向や価値観などによるところが大きく影響していることが紹介されています。具体的なノウハウなどによるものではなく、文化や価値観などによるものが大きいと考えられますが、それらは一朝一夕で築けるものではないことから、残念ながら日本人には簡単に真似できるものではないということかもしれません。
さて、それでは今後私たち日本人はどうすればもっと生産性を上げることができるのかを考えてみましょう。私が日々様々な研修を担当させていただいている中で感じるのは、「時間や納期について、今よりもっと意識してみることが必要ではないか」ということです。研修では個人やチームで様々な演習に取り組んでいただいていますが、その際に納期管理(演習の終了時間を守ること)の重要性をはじめにお伝えしても、それを徹底する人やチームがある一方で、全くこだわらずにマイペースで演習を進める人やチームも少なくありません。それは成果の完成度を追求するあまり、納期(時間)への意識が希薄になってしまっているのだろうとは思いますが、まずは「与えられた時間の中で最大限の結果を出すことに、もっとこだわりを持ってほしい」と感じることが多々あります。
言うまでもありませんが、時間はとても大切な経営資源の一つです。価値を生み出すためには経営資源は最大限に有効活用するべきものであり、反対に価値を生み出すことに使われなかった時間は結果として経営資源の無駄遣いをしたことになってしまうのです。
コロナ禍においてテレワークが日常のものになりましたが、同時に生産性の問題を抱えている例も少なくないようです。一人一人が「時間」という経営資源を有効活用することをしっかり意識して、取り組んでいくことが必要だと考えています。