「99人以下の中小企業の社員が辞めずにイキイキ働くようになる」を実現する人材育成社です。
「本当は職場の飲み会にはあまり行きたくありません。もっぱら、飲み会に参加していない人間の噂話が話題の中心だからです。でも、自分が噂話のターゲットにされるのは嫌なので、いたし方なく参加しています」
これは先日、弊社が監督職を対象にした公開セミナーを担当させていただいた際に、ある男性の受講者が語った言葉です。
彼は、飲み会自体は決して苦手というわけではないそうですが、噂話ばかりしている飲み会に行くのが時間とお金のムダと感じてしまうとのことでした。
確かに彼の勤める会社に限らず、職場の飲み会は多かれ少なかれ噂話で盛り上がることはよくあることです。
飲み会での噂話は必ずしもマイナスの内容ばかりではないでしょうが、それでも他者を揶揄したりすることは少なくないと言えそうな気がします。
先日も、たまたま入った居酒屋で隣に座っていた管理者と思われる人たちが、部下のことを面白おかしく噂して、大笑いしているのを見かけました。
話は変わりますが、先日亡くなったジャニーズ事務所の創業者ジャニー喜多川さんは、所属タレントを指導したり叱ったりする際は直接本人に指摘し、本人がいないところでそれを嘆いたり他者を介したりすることは決してしなかったとのことです。
「直接叱る」ことは、ジャニーズ事務所を興して57年、40グループ、160人以上のアイドルをこの世に送り出し、人気アイドルに育て上げたジャニー喜多川さんならではの一つの哲学だったのかもしれません。
部下を育成するうえでは、必要に応じてほめたり叱ったりすることはとても大切なことです。しかし、それを適切に行わないと、成長どころか逆に本人のやる気を失わせてしまったりしかねない面も持っています。
ほめるときの有効なポイントの一つに、本人に直接伝えるだけでなく、他者を介したり人前でほめたりすることがあります。一方、叱る際のポイントとしては、決して間に人を介したりするのではなく、直接伝えることが大切です。マイナスのことを第三者者から指摘されたりしたら、嫌な気持ちになるのは想像に難くないでしょう。
ジャニー喜多川さんは、そのような人間の感情の機微を十分に理解してされていたのでしょう。それ故に、「叱る際はその場で直接本人に言う。」をきちんと実践されていたのだと思います。
そして、このことは叱られる側にとってもジャニー喜多川さんへの信頼を、そして両者の絆を強くすることにつながっていったのではないでしょうか。
これこそが、所属する大勢のタレントをトップアイドルにまで成長させ、今も強い絆で結ばれているジャニーズ事務所の成功の秘訣の一つだったのではないかと思うのです。
さて、冒頭の例のように、飲み会では部下のことをいろいろと揶揄するのに、いざ本人を目の前にすると、きちんと指導できない上司がいます。
マイナスのことであればあるほど、他者の口からでなく直接上司の口から伝えること、それが部下の成長のために大切であることは言うまでもありません。