共 結 来 縁 ~ あるヴァイオリン&ヴィオラ講師の戯言 ~

山川異域、風月同天、寄諸仏子、共結来縁…山川の域異れど、風月は同天にあり、諸仏の縁に寄りたる者、来たれる縁を共に結ばむ

今日はドヴォルザーク《チェロ協奏曲》の初演日〜宮田大氏の独奏による演奏(アンコール付き)

2022年03月19日 18時10分30秒 | 音楽
昨日の真冬のような寒さは多少解消しましたが、それでも今日は風の冷たい一日となり、夕方からは冷たい雨も降り始めました。暦の上では春の彼岸を迎えていますが、春を喜べるのはまだ先のことのようです。

ところで、今日3月19日は



ドヴォルザークの《チェロ協奏曲 ロ短調》が初演された日です。曲の大部分はニューヨークで書かれていますが、初演は1896年3月19日にロンドンで行われています。

ドヴォルザークは3つの楽器(ピアノ・ヴァイオリン・チェロ)のために協奏曲を書いていますが、ドヴォルザークのコンチェルト、通称『ドボ・コン』と言えば間違いなくこのチェロ協奏曲を指します。それほどドヴォルザークの作品中の中でも親しまれている作品であるだけでなく、西洋音楽史に残るチェロ協奏曲の中でもダントツの人気を誇るのがこの曲です。

実はドヴォルザークのチェロ協奏曲については20世紀になってもう1曲あることが分かりましたが、そちらの方はオーケストレーションも完成されていないこともあり、作品番号すら付いていないものです。なので、通常『ドヴォルザークのチェロ協奏曲』と言えばこのロ短調の作品を指します。

語弊を恐れず言うのであれば、クラシック音楽の全チェロ協奏曲の中の最高傑作と言っても過言ではないでしょうし、名チェリストによる録音や演奏会で取り上げられる回数の点からも他のチェロ協奏曲を圧倒しています。その分、独奏チェロの技巧的な面から見ても、また40分ほどかかる演奏時間の点から見ても、チェリストにとっては大変な難曲となっています。

曲は、有名な交響曲第9番《新世界より》といったドヴォルザークの他の名曲同様『望郷の念』が詰め込まれていて、一度聴いたら忘れられない哀愁のある名旋律に満たされています。オーケストラの書法も大変充実していて、協奏曲なのにトロンボーンやチューバの入る編成はかなりシンフォニックな響きを生み出していて、単なる伴奏という枠を越えて独奏チェロと一体となった、豊かな情感を持った音楽を紡ぎ出しています。

そんなわけで、今日はそのドヴォルザークの名協奏曲を、日本人チェリスト宮田大さんのチェロ独奏でお楽しみいただきたいと思います。なお、演奏後にアンコールでマリア・テレジア・フォン・パラディス作曲の《シチリアーノ》の演奏もあります。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする