小田原に向かう電車に乗っていて、ちょっとした事件が起こりました。
私はちょうど優先席の近くにいたのですが、途中の駅で女子高生がメールをしながら乗車してきました。そうしたら、優先席に座っていたヲジサンが、突然声を荒げて
「オイ貴様!ここは優先席だぞ!私の胸にはペースメーカーが入っとるんだ、気づかえバカモノ!!」
と怒鳴り散らしたのです。
怒鳴られた女子高生は、恐らくびっくりしたのと怖いのと恥ずかしいのとがゴチャマゼになって『…!』と息を飲んでから、逃げるように隣の車両に移っていきました。
随分な言い方の人だな…と思って見ていたのですが、そのヲジサンは停まる駅毎に携帯を手にして入ってきた人に対して、まるで鬼の首でもとったかのような勢いで怒鳴りまくっていました。そんなことが繰り返された中で、やがて車内には殺伐とした空気が流れていったことは言うまでもありません。
電車内における携帯電話の使用マナーについては今までにもいろいろと言われてきていて、かつてはペースメーカーへの悪影響も一緒くたに問題視されていました。しかし、車内優先席付近での携帯電話電源OFFが周知されてから数年の間に携帯電話の漏洩電磁波についてはかなり改善されていて、さる大学病院の心臓外科医の話によれば、現在の携帯の漏洩電磁波がペースメーカーに影響を及ぼす範囲は、機械周辺の半径3cm程度だということです。つまり、たとえ胸ポケットに携帯を入れている人とハグしたとしても、殆ど影響がないくらいになっているわけです。
こういう医療機器に助けられながら人生を送らなければならない方の心情というものは察して余りあるものがあります。しかしながら、それ故に優先されているからと言って、それを錦の御旗に掲げての傍若無人な振る舞いが許されているわけでもありません。第一、こういう的外れな人が一人でもいるばっかりに、他にペースメーカーを使用しておいでの方々にまで良からぬ評判がたってしまっては本末転倒です。
残念ながらこうしたトラブルが頻発している昨今、上記の漏洩電磁波改善のことを踏まえて、車内優先席付近での携帯電話電源OFFの掲示を外そうという検討が各交通機関内で検討されているそうです。ただそうなった場合に、今度は今まで気を使わされていた側が『使ってもいい』ということを免罪符にして更にマナーが悪くなるのではないかという懸念も払拭出来ないのも事実だったりします。
昨今、ともすればマナーとか規範とかいうものを『堅苦しい』というレッテルを貼って切り捨ててしまいがちですが、『マナー』とは本来『自分以外の人々に対して不快な思いをさせないための気遣い』という、非常に高次元な『文化』なわけです。それは健常者だろうが障害者だろうが医療機器使用者であろうが、平等に負担すべきものです。
少なくとも近い将来、車内掲示からペースメーカーへの配慮の記載が削除された時、錦の御旗をへし折られたこのヲジサンの居場所がなくなることも、免罪符を得た健常者が横暴になることもない世の中であることを、ただひたすら祈念するのみです。
私はちょうど優先席の近くにいたのですが、途中の駅で女子高生がメールをしながら乗車してきました。そうしたら、優先席に座っていたヲジサンが、突然声を荒げて
「オイ貴様!ここは優先席だぞ!私の胸にはペースメーカーが入っとるんだ、気づかえバカモノ!!」
と怒鳴り散らしたのです。
怒鳴られた女子高生は、恐らくびっくりしたのと怖いのと恥ずかしいのとがゴチャマゼになって『…!』と息を飲んでから、逃げるように隣の車両に移っていきました。
随分な言い方の人だな…と思って見ていたのですが、そのヲジサンは停まる駅毎に携帯を手にして入ってきた人に対して、まるで鬼の首でもとったかのような勢いで怒鳴りまくっていました。そんなことが繰り返された中で、やがて車内には殺伐とした空気が流れていったことは言うまでもありません。
電車内における携帯電話の使用マナーについては今までにもいろいろと言われてきていて、かつてはペースメーカーへの悪影響も一緒くたに問題視されていました。しかし、車内優先席付近での携帯電話電源OFFが周知されてから数年の間に携帯電話の漏洩電磁波についてはかなり改善されていて、さる大学病院の心臓外科医の話によれば、現在の携帯の漏洩電磁波がペースメーカーに影響を及ぼす範囲は、機械周辺の半径3cm程度だということです。つまり、たとえ胸ポケットに携帯を入れている人とハグしたとしても、殆ど影響がないくらいになっているわけです。
こういう医療機器に助けられながら人生を送らなければならない方の心情というものは察して余りあるものがあります。しかしながら、それ故に優先されているからと言って、それを錦の御旗に掲げての傍若無人な振る舞いが許されているわけでもありません。第一、こういう的外れな人が一人でもいるばっかりに、他にペースメーカーを使用しておいでの方々にまで良からぬ評判がたってしまっては本末転倒です。
残念ながらこうしたトラブルが頻発している昨今、上記の漏洩電磁波改善のことを踏まえて、車内優先席付近での携帯電話電源OFFの掲示を外そうという検討が各交通機関内で検討されているそうです。ただそうなった場合に、今度は今まで気を使わされていた側が『使ってもいい』ということを免罪符にして更にマナーが悪くなるのではないかという懸念も払拭出来ないのも事実だったりします。
昨今、ともすればマナーとか規範とかいうものを『堅苦しい』というレッテルを貼って切り捨ててしまいがちですが、『マナー』とは本来『自分以外の人々に対して不快な思いをさせないための気遣い』という、非常に高次元な『文化』なわけです。それは健常者だろうが障害者だろうが医療機器使用者であろうが、平等に負担すべきものです。
少なくとも近い将来、車内掲示からペースメーカーへの配慮の記載が削除された時、錦の御旗をへし折られたこのヲジサンの居場所がなくなることも、免罪符を得た健常者が横暴になることもない世の中であることを、ただひたすら祈念するのみです。