《エルナーニ》を観ていたら何だか無性に観たくなって、ちょっと迷いましたが、やっぱりもう1本オペラを観ちゃいました。同じくヴェルディの3作目のオペラ《ナブッコ》です。ナブッコとは、古代世界史にも出てくるバビロニア王ネブカドネザルの別称です。またしてもストーリー的なものはウィキペディア他を御覧頂くべく、割愛致します。
私が持っているDVDは1979年、パリ・オペラ座での公演を収録したものです。
(ニホンモニター DLVC-1027)
ナブッコ…シェリル・ミルンズ
アビカイッレ…グレース・バンブリー
ザッカーリア…ルッジェーロ・ライモンディ
イズマエーレ…カルロ・コスタ
フェネーナ…ヴィオリカ・コルテス
アブダッロ…ロベール・デュメ
パリ・オペラ座管弦楽団・合唱団
指揮…ネッロ・サンティ
演出…ヘンリー・ロンス
衣装…ベーニ・モントレソー
はっきり言って、画像も音質もよくありません。じゃ何で買ったのかと言えば、とにかくメインキャストが豪華だからです。
タイトルロールのミルンズは、圧倒的な声量と卓越した演技力を合わせ持つ、私が好きなバリトンの一人です。この公演では全盛期のミルンズが全開で、愛憎入り交じった複雑なナブッコの内面を全身で表しています。特に第4幕のシェーナとアリア《生きているようだ~ヘブライの主よ、祭壇も神殿も》では、感極まった表情のナブッコ王の姿を見せてくれます。
ザッカーリア役のライモンディはイタリア人バス歌手の重鎮として、実は主役のナブッコ以上に登場回数の多いザッカーリアを好演しています。第2幕の《レヴィ人よ、聖典をこちらへ~預言者を稲妻で打たれた我等が主神よ》では、深い響きでの祈りの歌を聴かせてくれます。
そして何より、この役の歌手がショボいとどうにもならないと言っても過言ではないアビカイッレは、名メゾソプラノ、グレース・バンブリーです。この演出は特に衣装が豪華なのですが、その衣装に負けない華やかさと絶対的存在感で、ナブッコ王と奴隷の女との間に産まれたという屈折した身の上を憎みつつもその感情を内に秘めて、あくまでも王の娘としての気品高い女将軍を見事に歌いあげてくれています。
イタリアオペラ界の重鎮ネッロ・サンティの指揮は爽快で、ともすると長大な印象を持ってしまいがちなこのオペラを、コンサートレパートリーとしても有名な序曲から明快に聴かせてくれます。
そして、何でこのオペラが観たくなったかと言うと、『イタリア第2の国歌』としても名高い第3幕の合唱曲《行け我が思いよ、黄金の翼に乗って》を聞くためです。《エルナーニ》の合唱を聴いていて、何だか無性にこの曲が聴きたくなりました。
この曲はソプラノからバスまで、男女全員でのユニゾン(一斉唱)で始まります。あらゆる人が同じキーで歌える曲を作るというのは、実は大変なことです。そのことと、歌詞の中にある
『おお、あんなにも美しく、そして失われた我が故郷!』
という一文が、初演当時オーストリアの統治下にあって鬱憤の溜まっていたイタリア国民の心に響き渡り、遂には『イタリア第2の国歌』と呼ばれるまでに至ったのです。因みにこの曲は、2006年のトリノ五輪の閉会式でも歌われました。
今日は感動的なヴェルディ初期の作品を2本も堪能しました。これから近所のスーパーで1/4ボトルのイタリアワインでも買って来て、この余韻に浸りたいと思いま~す(*^O^*)。
私が持っているDVDは1979年、パリ・オペラ座での公演を収録したものです。
(ニホンモニター DLVC-1027)
ナブッコ…シェリル・ミルンズ
アビカイッレ…グレース・バンブリー
ザッカーリア…ルッジェーロ・ライモンディ
イズマエーレ…カルロ・コスタ
フェネーナ…ヴィオリカ・コルテス
アブダッロ…ロベール・デュメ
パリ・オペラ座管弦楽団・合唱団
指揮…ネッロ・サンティ
演出…ヘンリー・ロンス
衣装…ベーニ・モントレソー
はっきり言って、画像も音質もよくありません。じゃ何で買ったのかと言えば、とにかくメインキャストが豪華だからです。
タイトルロールのミルンズは、圧倒的な声量と卓越した演技力を合わせ持つ、私が好きなバリトンの一人です。この公演では全盛期のミルンズが全開で、愛憎入り交じった複雑なナブッコの内面を全身で表しています。特に第4幕のシェーナとアリア《生きているようだ~ヘブライの主よ、祭壇も神殿も》では、感極まった表情のナブッコ王の姿を見せてくれます。
ザッカーリア役のライモンディはイタリア人バス歌手の重鎮として、実は主役のナブッコ以上に登場回数の多いザッカーリアを好演しています。第2幕の《レヴィ人よ、聖典をこちらへ~預言者を稲妻で打たれた我等が主神よ》では、深い響きでの祈りの歌を聴かせてくれます。
そして何より、この役の歌手がショボいとどうにもならないと言っても過言ではないアビカイッレは、名メゾソプラノ、グレース・バンブリーです。この演出は特に衣装が豪華なのですが、その衣装に負けない華やかさと絶対的存在感で、ナブッコ王と奴隷の女との間に産まれたという屈折した身の上を憎みつつもその感情を内に秘めて、あくまでも王の娘としての気品高い女将軍を見事に歌いあげてくれています。
イタリアオペラ界の重鎮ネッロ・サンティの指揮は爽快で、ともすると長大な印象を持ってしまいがちなこのオペラを、コンサートレパートリーとしても有名な序曲から明快に聴かせてくれます。
そして、何でこのオペラが観たくなったかと言うと、『イタリア第2の国歌』としても名高い第3幕の合唱曲《行け我が思いよ、黄金の翼に乗って》を聞くためです。《エルナーニ》の合唱を聴いていて、何だか無性にこの曲が聴きたくなりました。
この曲はソプラノからバスまで、男女全員でのユニゾン(一斉唱)で始まります。あらゆる人が同じキーで歌える曲を作るというのは、実は大変なことです。そのことと、歌詞の中にある
『おお、あんなにも美しく、そして失われた我が故郷!』
という一文が、初演当時オーストリアの統治下にあって鬱憤の溜まっていたイタリア国民の心に響き渡り、遂には『イタリア第2の国歌』と呼ばれるまでに至ったのです。因みにこの曲は、2006年のトリノ五輪の閉会式でも歌われました。
今日は感動的なヴェルディ初期の作品を2本も堪能しました。これから近所のスーパーで1/4ボトルのイタリアワインでも買って来て、この余韻に浸りたいと思いま~す(*^O^*)。