今日は何とも風の爽やかな秋晴れに恵まれました。こうした陽気が、これからずっと続いてくれるといいのですが。
さて今日は、久しぶりにサントリーホールのオルガンプロムナードコンサートを聴きに赤坂アークヒルズまで出かけました。お天気が良かったこともあってホールの前には長蛇の列が出来ていましたが、意外と皆さん2階席や1階の最前列に陣取っていたので、結果的にいつも座っている辺りに着席出来ました。
今回のプログラムは長めの曲が3つ用意されていました。
1曲目は大バッハの『前奏曲とフーガ ハ長調BWV547』が演奏されました。この曲はバッハの円熟期に作曲されたもので、前奏曲はハ長調という調性に相応しく軽快で喜ばしいメロディに満ちています。続くフーガは僅か1小節分の短いテーマから繰り広げられる、5声部の壮大で分厚いフーガが展開されていきます。
続いては同じく大バッハのコラール『身を飾れ、おお愛する魂よ BWV654』です。ゆったりしたペダルのバスと細やかに紡がれる右手の旋律に乗せて、美しく装飾されたコラールの旋律が優美に奏でられます。この美しいオルガンコラールは、後のメンデルスゾーンやシューマンにも愛奏されていたようです。
そしてラストはサン=サーンスの名曲『死の舞踏』です。この作品は初めサン=サーンスがアンリ・カザリスの詩に霊感を得て歌曲として作曲され、後にオーケストラ用の交響詩として改作した作品ですが、今回は後にE.H.ルメアによってオルガン編曲されたものが奏されました。
高いレの音(オーケストラではハープで演奏される)で夜中の12時の時報が打たれると死神が登場して、特殊チューニングしたヴァイオリンを奏でます。すると、その不協和音に誘われて骸骨たちが踊るワルツが始まり、舞踏会は盛り上がっていきます。そして宴が最高潮に達した時、突如朝の到来を告げる雄鶏の鳴き声が響き渡ると骸骨たちは墓場へと帰って行き、周囲は静けさを取り戻します。
今日のオルガン編曲版はオーケストラ版で演奏する時のような、例えば骨のカタカタいう音を表すコル・レーニョ(弦楽器が弓で弦を叩く)奏法や指で弦を弾くピッチカート奏法等は難しいものの、オーケストラ版とはまた違った迫力の演奏でした。
演奏後
聴衆からオルガニストに盛んに拍手が贈られていました。
今回はオルガン本体のコンソール(演奏台)ではなく、
ステージ上に設置されたリモートコンソールでの演奏でしたが、聴衆に近い分オルガニストの足使いが垣間見れて、なかなか面白いステージでした。
さて、コンサートが終わって外に出てみたら、ホール前のカラヤン広場というスペースに
歴代のシトロエンの車がズラリと展示されていました。
一番古いものは
1923年製造の『トレフル』というタイプのクラシックカーです。
この頃の車のエンジンをかけるには、バンパーのところについているハンドルを回していました。ところが、あまり勢いよく回すと弾みでハンドルが外れてしまい、その先が運悪く回していた人の首に刺さって亡くなってしまうという痛ましい事故もあったそうです。
この『トレフル』は、第二次世界大戦後に日本にやって来た宣教師が持ち込んだものとのことでした。その後、宣教師が北海道に赴任するに当たって手放した後、長く放置されてボロボロの状態だったものを、30年程前に発見した技師が1年もの時間をかけてレストアしたものだそうです。
この頃の『トレフル』に関しての販売車両の記録はフランス本国にも残されていないのだそうで、いつ購入されたものかは定かではないそうです。ただ、遠く離れた日本の地にほぼ完全な姿で残されているということはフランス本社でも驚きをもって紹介され、高い関心を持たれているそうです。
それにしても
こうして見ると、昔の車というものは単純に格好いいなとつくづく思います。当時の自動車は憧れられる対象として存在していたでしょうから、それに見合う風貌に仕上げられたのでしょう。
他にも
映画《ルパン三世 カリオストロの城》に登場した2CVも展示されていました。確かそこに出てきたのは赤いタイプだったと思いますが、考えてみれば随分とお洒落な車がアニメに登場していたものです。
また、
オーケストラ時代の大先輩が乗っておられたDSやAMIといった60年代から70年代を代表するようなシトロエンの名車が勢揃いしていました。これだけのシトロエンを揃えるのに、一体どれほどの労力が費やされたのでしょうか。
ただ、最近のシトロエンは
割とずんぐりむっくりした感じになってしまっているのが、残念な感じが拭えません。スポーツタイプだと人数が乗れないこともあって仕方ないのかも知れませんが、往年の名車の続きで見るとやはり
『丸っこくなっちゃったな…』
という感は否めません。
これも時代に合わせた変化なのでしょうが、一方で何処かでスポーツタイプも量産していてほしいな…とも思ったのでありました。
でも、今日は耳と目のいい保養が出来ました。教室前のひと時、楽しませてもらいました。