2008/02/12-17:04 ふげん廃止計画を認可=経産省
新型転換炉ふげんの廃止計画が認可された。
原子炉の廃棄についてはいくつかの先例はあるが、まだまだ黎明期である。
六ヶ所村の施設に送り込まれる廃棄物も出るだろうし、プルトニウムも精製されるかもしれない。
六ヶ所村の問題についてはLink先のWikipediaを見る事としても、海草に蓄積されるヨウ素129が海中に液体で放出される事に対して「希釈されるので問題ない」というのはあまりにお粗末な見解だとおもう。
さて、新型転換炉とは何か?
正確性に疑問が示される事があるWikipediaだが、百科事典としての機能を有効に活用しよう。
一言で言えば「いろんな核燃料が使える炉」ということ。
『核燃料としては天然ウラン、プルトニウムを添加した天然ウラン(プルトニウム富化ウラン燃料)、微濃縮ウラン、ウランとプルトニウムの混合酸化物燃料(MOX燃料)が使用できる。全ての燃料棒をプルトニウム燃料とするフルMOXも可能である。』
また、高速増殖炉で生成されるプルトニウム239を「燃やす」事が出来るので、再処理工場や高速増殖炉とセットで考えると存在意義がハッキリする。
高速増殖炉とは転換比が1を超えている炉で、遅い熱中性子ではなく高速中性子を利用する炉。
転換比が1を超えるという事は、投入した核燃料よりも多くの核燃料を取り出せる炉のことで、資源に乏しい日本にとっては「夢の」(あるいは悪夢の)原子炉である。新型転換炉は1を超えないが、比較的転換比が高い。
高速増殖炉や核燃料再処理工場が商業稼働するということは、プルトニウム239を「燃やす」炉がなければならない。このための炉が新型転換炉であり、一般の軽水炉でプルトニウムを「燃やす」プルサーマル計画だ。新型転換炉は核兵器から取り出したプルトニウムを「燃やす」事も出来るので、核の平和利用である、という事も出来るかもしれない。
しかし高速増殖炉には技術的な問題があり、「もんじゅ」のナトリウム漏れ事故以来、計画は進んでいない。そして新型転換炉は「核燃料が足りなくなる、高騰する」という前提で研究されてきたが、各国の原子力発電計画が縮小され、足りなくなるどころかだぶつき気味で、単なる高コストな炉に過ぎなくなってしまった。
このため電力会社が新型転換炉の採用を見送り、「ふげん」の存在意義が希薄になり、廃炉になったわけだ。
ではプルトニウムをどうするかというとプルサーマルに流れざるを得ないわけだが、プルトニウムの危険性がある程度知れ渡っているので、根強い反対運動が起きている。しかしいくつかの原子力発電所ではプルサーマルを実施する事になるだろう。
高速増殖炉や新型転換炉についての危険性を指摘する反対論は、Link先その他で散々論じられているが、強いて利点を挙げるとすれば核燃料を自前で用意できること、国内再処理工場とセットで見れば海上輸送という危険な事をしなくて済む事、などがある。
核燃料を自前で用意出来るという事は、原油価格の高騰に対して耐性を得る事に繋がるし、核兵器保有国やウラン産出国による世界支配の構造に風穴を開ける可能性もある。新型転換炉や高速増殖炉が軌道に乗って増えれば、電気自動車が一気に普及する可能性もある。
しかし、だ。
プルトニウム239は危険きわまりない物質であり、再処理工場周辺での放射線の影響は有意に起きていて、それは原子力発電所の周囲でも同じであり、ひとたび事故が起きれば取り返しがつかない事態になりかねない(高速増殖炉は、ほぼLOCAにはならないらしいけど、原発事故は冷却水喪失による炉心溶融だけじゃないからね)。
人一倍電気を使ってる奴が何を言うか!?
いや、電気を使っているからこそ、原子力発電についても考えてしまうのですよ。
「どうすればいいのでしょうか…」(ゴルゴ13「2万4千年の荒野」より)
新型転換炉ふげんの廃止計画が認可された。
原子炉の廃棄についてはいくつかの先例はあるが、まだまだ黎明期である。
六ヶ所村の施設に送り込まれる廃棄物も出るだろうし、プルトニウムも精製されるかもしれない。
六ヶ所村の問題についてはLink先のWikipediaを見る事としても、海草に蓄積されるヨウ素129が海中に液体で放出される事に対して「希釈されるので問題ない」というのはあまりにお粗末な見解だとおもう。
さて、新型転換炉とは何か?
正確性に疑問が示される事があるWikipediaだが、百科事典としての機能を有効に活用しよう。
一言で言えば「いろんな核燃料が使える炉」ということ。
『核燃料としては天然ウラン、プルトニウムを添加した天然ウラン(プルトニウム富化ウラン燃料)、微濃縮ウラン、ウランとプルトニウムの混合酸化物燃料(MOX燃料)が使用できる。全ての燃料棒をプルトニウム燃料とするフルMOXも可能である。』
また、高速増殖炉で生成されるプルトニウム239を「燃やす」事が出来るので、再処理工場や高速増殖炉とセットで考えると存在意義がハッキリする。
高速増殖炉とは転換比が1を超えている炉で、遅い熱中性子ではなく高速中性子を利用する炉。
転換比が1を超えるという事は、投入した核燃料よりも多くの核燃料を取り出せる炉のことで、資源に乏しい日本にとっては「夢の」(あるいは悪夢の)原子炉である。新型転換炉は1を超えないが、比較的転換比が高い。
高速増殖炉や核燃料再処理工場が商業稼働するということは、プルトニウム239を「燃やす」炉がなければならない。このための炉が新型転換炉であり、一般の軽水炉でプルトニウムを「燃やす」プルサーマル計画だ。新型転換炉は核兵器から取り出したプルトニウムを「燃やす」事も出来るので、核の平和利用である、という事も出来るかもしれない。
しかし高速増殖炉には技術的な問題があり、「もんじゅ」のナトリウム漏れ事故以来、計画は進んでいない。そして新型転換炉は「核燃料が足りなくなる、高騰する」という前提で研究されてきたが、各国の原子力発電計画が縮小され、足りなくなるどころかだぶつき気味で、単なる高コストな炉に過ぎなくなってしまった。
このため電力会社が新型転換炉の採用を見送り、「ふげん」の存在意義が希薄になり、廃炉になったわけだ。
ではプルトニウムをどうするかというとプルサーマルに流れざるを得ないわけだが、プルトニウムの危険性がある程度知れ渡っているので、根強い反対運動が起きている。しかしいくつかの原子力発電所ではプルサーマルを実施する事になるだろう。
高速増殖炉や新型転換炉についての危険性を指摘する反対論は、Link先その他で散々論じられているが、強いて利点を挙げるとすれば核燃料を自前で用意できること、国内再処理工場とセットで見れば海上輸送という危険な事をしなくて済む事、などがある。
核燃料を自前で用意出来るという事は、原油価格の高騰に対して耐性を得る事に繋がるし、核兵器保有国やウラン産出国による世界支配の構造に風穴を開ける可能性もある。新型転換炉や高速増殖炉が軌道に乗って増えれば、電気自動車が一気に普及する可能性もある。
しかし、だ。
プルトニウム239は危険きわまりない物質であり、再処理工場周辺での放射線の影響は有意に起きていて、それは原子力発電所の周囲でも同じであり、ひとたび事故が起きれば取り返しがつかない事態になりかねない(高速増殖炉は、ほぼLOCAにはならないらしいけど、原発事故は冷却水喪失による炉心溶融だけじゃないからね)。
人一倍電気を使ってる奴が何を言うか!?
いや、電気を使っているからこそ、原子力発電についても考えてしまうのですよ。
「どうすればいいのでしょうか…」(ゴルゴ13「2万4千年の荒野」より)