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プラクティカル?

 車庫の前にちょっとした排水口があって、その上に置いてある鉄製の覆いが、車庫から車を出し入れするたびに、ガタついてどうにもいやな感じだった。きちっとセットしておいても、何度か車がその上を通るうちにずれてしまい、ひどい時には角を踏むともう一方が跳ね上がってしまって、車体に当たりそうなほどだった。車が新しくなったのに、すぐに傷ついたりしたらバカらしいから、この機会に直そうと思ってはみたが、残念なことに私はまったくプラクティカルな男ではない。日常生活に役立つような知恵は持ち合わせていない。しかも実生活での経験値があまりにも少ないため、困ったことを解決するには全く不向きな男だ。この覆いのガタガタを直すにはどうしたらいいのか、すぐには最善の方法が浮かんでこない。
 

 セメントで周りを固めるのかな・・としばらく考えてやっと解決策らしきものが浮かんできたが、それじゃあ、どうやってセメントで固めるのか?う~~ん、困った・・。道具はある。父親がずいぶん前に使った残りのセメントは塾舎の片隅に置きっ放しになっているし、セメントに混ぜる砂も塾舎の横手にたっぷりある。セメントを混ぜる鏝だっていくつもある。そうした道具一式は、ちょっと探せば見つけだせる。だが、どうやって使えばよかったのか、かなり曖昧だ。若い頃は父の手伝いで、セメントを捏ねたりしたことは何度もある。これでも大工の息子だ、ある程度の段取りは分かる。ただ自分ひとりでその段取りをこなしたことがないし、昔の記憶をたどってやろうにもかなり前のことなので、記憶があやふやだ。だが、ごちゃごちゃ考えていても何も始まらないから、とりあえず適当に始めてみることにした。

 

まず砂を拾ってきて、その上にセメントをかける。しかし、このセメントがかなり前の物のようで、紙袋の中で所々が固まってしまっていて、粉状のままのところが少なく、いったいどれだけ混ぜたらいいのか分からず、全くの目分量で加えてみたのだが、果たしてこれでいいのかはなはだ覚束ない。ただ、昔「砂とセメントはよく混ぜろよ」と父に言われたことはよく覚えていて、かなりの時間をかけて混ぜ合わせた。

 

丹念に混ぜ合わせたものに水を加える。水の加減もよく分からないから、これくらいかな、と思って蛇口を止めたのだが、なんだか水が多すぎていくら混ぜ合わせても水がダブダブ残ってしまう。仕方ない、砂とセメントを後少しずつ加えよう・・。などとやっている間にやっとそれらしい雰囲気になってきたので、これで準備完了、セメントで排水口の覆いの周りを固めていくことにした。

 

 そんなに量は多くないから、簡単に全部使い切ることができたが、出来栄えはあまりよろしくない。セメントが少なく、水気が多いような気もしたが、果たしてどうだろう・・。

 1日たった写真がこれだ。


 自分としては最善を尽くしたつもりだったが、触ってみたら、まだ少し柔らかかった・・。やはり、少ないセメントに水を加えすぎたので、うすいコンクリートとなってしまったのだろう。だが、上に乗ってみたところガタガタしないし、悪くはないようだ。車も一度出し入れしてみたところ、少しばかりカタッと音はしたが、おおむね良好だった。まあ、これならしばらくは様子を見ることにしてもいいんじゃないだろうか・・。
 我ながら「いい仕事」をした!ような気がしなくもない・・。
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