じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

明治後期の優良小学校

2008-04-20 15:17:06 | 教育
★ ふと日本教育経営学会の紀要を読んだ。茂木氏の著作を読んでいて、「こだわること」の大切さを実感したからだ。

★ 私はライフワークの1つとして学校経営の実践史を掲げているが、日々の多忙さを理由に研究はいっこうに進まない。言い訳ばかりをしているうちに10年、15年と時が経過してしまった。

★ まずは第38号(1996年)から、平井喜美代さんの「明治後期『模範』小学校運営に見る学校経営の成立状況ー優良小学校選奨政策に焦点づけて」を読んだ。

★ 平井さんとは確か1995年、日本教育経営学会が京都教育大学で開催された時に、同じ会場で発表をご一緒させていただいたように記憶している。私も学校経営の歴史研究に関心があったので、非常に興味深く拝聴させていただいた。

★ 紀要に掲載された論文は、明治41年度、42年度に文部省によって実施された「優良小学校」選奨に焦点をあて、その背景や「経営」の意味を問うている。

★ 私が主に調べている京都府でも明治38年度(発行は39年)に「京都府初等教育優良事蹟」なるものが報告され、そうした模範校選定の動きが全国的にあったことを物語っている。

★ 平井論文では、優良小学校選定の動きが地方小学校や師範学校付属小学校に与えた影響についても言及している。大阪府天王寺師範学校長であった村田宇一郎の学校を中心とした自治民育という考えは非常に興味深かった。

★ 学校を中心として地域を教化しようという啓蒙的な「上から」の発想ではあるが、同時に地域の現状を踏まえた学校経営の萌芽が感じられる。明治後期のこの時期、義務教育が延長され、社会が近代化されるこの時期が、次にくる大正自由教育や昭和初期の教育へのランドマークとなったのかも知れない。

★ 折りしも「学校管理」から「学校経営」へと、書名のタイトルが移り変わるのもこの時代である。

★ 平井さんの論文は教育経営学会紀要の他の号や大塚学校経営研究会「学校経営研究」にあるそうなので読んでみたい。

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