じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

「教育日本一」宣言について

2008-04-30 13:26:46 | 教育
★ 大阪府が「教育日本一」をめざして放課後学習を始めるという。

★ 平和で豊かな国を築くには、現下の政治経済改革と長期的な展望に立った教育改革が必須であると思う。しかし、教育というものは結果が見え難い。その上、手間、時間、カネがかかる。

★ 政治家としては教育の重要性はわかっていても、政策の優先順位が必ずしも高くないのはこうした背景からであろう。

★ にもかかわらず、教育への「想い」を具現化しようというのは、橋下大阪府知事の英断であると思う。

★ ただ、具体化するにはまだ多くの課題がありそうだ。放課後学習は先の教育再生会議でも提言されて、東京の和田中では藤原校長の下、「ドテラ」「夜スペ」として実施されている。大阪府はどのような構想で実施するのだろうか。

★ まず根本的な点は、知事の掲げる「日本一」という意味である。教育という営みは曖昧になりやすい。京都府の堀川高校が注目されたのは、結果を見えるカタチで示したことだ。

★ 文科省の学習調査の平均点をあげるなら、底上げと「対策」が必要だ。ただ調査のための「対策」=学習になるなら虚しいものになってしまう。

★ ブランド大学への進学者数をアピールするなら、「エリート」を集約し、塾・予備校のような対策を講じれば、結果は明らかであろう。

★ 次の課題は運営形態と予算である。計画では教員OBや学生を当てるというが、大阪府下で一斉に実施する場合、相当大がかりな計画になりそうだ。量と質をどう維持するのか。どう管理、運営するのかが大きな課題だ。計画では受講料は無料で指導員には1回2,000円程度の謝礼がでるという。1回2,000円でも数が大きいだけに巨費の支出になるが、一方指導員の方としてもこのような半ば「ボランティア」のカタチで継続的な指導ができるのか考慮が必要だ。

★ 和田中学では、地域が「夜スペ」を運営するカタチになっている。藤原校長が意図したことは学校がイニシアティブを発揮することによって、地域に動いてもらう、地域や家庭が活性化することによって、結果として学力の向上が実現できるという構図だったと思う。

★ 「上」からの一方的な押し付けではなく、単位学校(単位学校で難しいなら、中学区単位で)がどれだけ積極的に動くか、地域や家庭の前に、単位学校がどれだけ活性化するかが課題であろう。

★ 和田中は比較的小規模な学校だったと思う。学校規模の問題や教員のかかわりも課題である。学校の管理運営、連携といったことで教員の多忙さが一層深刻になることも予想される。

★ 官僚機構にありがりな「打上花火」に終わらないことを期待したい。

★ 蛇足ながら2つの提言をしたい。1つは中退率や授業料の未払いが大阪は多いと聞く。その背景には大阪の経済的な問題がある。一層の就学援助、奨学金制度の充実を望みたい。2つ目は、塾業界の人間だから言うのではないが、放課後教室という学校での学習ではなく、子どもを学校から開放することも大切なのではないか。例えば「教育チケット」を発行し、塾などの民間教育機関を活用する方法である。

★ 大阪の改革は他県の注目を集めることになるだろう。しっかり見守りたい。
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