じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

鹿島田真希「冥土めぐり」

2018-09-09 21:34:11 | Weblog
☆ 鹿島田真希さんの「冥土めぐり」(河出文庫)を読んだ。

☆ 裕福だった祖父の死で、一転貧困に陥った家族。母はお嬢様だった時代のことを繰り返し語る。認知症も出ているようだ。弟はその母親の溺愛で育ったせいか、大言を吐き、浪費と破綻を繰り返す。夢の中で(仮定法の中で)生きる母と弟に翻弄され、主人公の女性(奈津子)はもはや反発する気力さえない。そんなとき彼女はある男性と出会い結婚する。そして母と弟がこの夫をも蝕もうとしていた時、夫は脳の病気に倒れ、自由に動けなくなる。

☆ 物語は主人公がこの夫と1泊2日の旅行をするところから始まる。

☆ 今は安価な区の保養地となっているホテル。かつては金持ちしか利用できないほどの高級ホテルだった。時代の移り変わりを目の当たりにしつつ、奈津子か家族の歴史を8ミリ映像を見るように回想する。

☆ 地獄のような日々。夫はまさに「地獄に仏」だったのかも知れない。夫は自らの身体に障がいを負うことによって奈津子を地獄から救い出したのかも知れない。

☆ ところで「冥土めぐり」というこの題名。いろいろと考えさせられる。「冥土」はあの世のことだから、奈津子は(あるいは夫も)この世の存在ではないのかもとか。映画「シックスセンス」のような感じだろうか。このあたりは読者の読み方次第か。

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秋思

2018-09-09 10:31:54 | Weblog
☆ 年をとるとともに月日は足を速めるようです。ついこの前、高校受験が終わり塾生を送り出したと思っていたら、もう今年の受験が迫ってきました。今日は五ツ木の京都模試。朝から大勢の塾生がテストに挑んでいます。

☆ 天変地異に翻弄される日々。人々の混乱を知ってか知らずか、季節は少しずつ進んでいるようです。日本列島、秋雨前線が季節を二分しているようです。太平洋かなたの台風の動きも気になるところです。

☆ 春愁秋思とはよく言ったもので、もう少し涼しくなると何となく心寂しくなるものです。青春、朱夏、白秋、玄冬というのも四季のある地方ならではの表現ですね。

☆ 日蓮は「立正安国論」の中で三災七難を紹介していますが、自然災害の後には、戦乱と疫病が控えているとか。科学の発達した時代、自然の乱れ、人心の迷いが謗法によるものかどうかはわからないけれど、自然災害が社会的な混乱あるいは変革に影響を与えることはわかるような気がします。

☆ 「色即是空 空即是色」 あるがままに受け入れてその日を楽しく生きられたら良いなぁと思います。老境の至りでしょうか。

☆ 閑話にて。
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