じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

角田光代「かなたの子」

2021-01-29 16:17:01 | Weblog
★ 京都の私立高校受験まであと12日。生徒以上に緊張する季節だ。コロナ禍のストレスかそれとも過労からか、体調はイマイチすぐれないが、そんなことは言っていいられない。

★ 多忙な中でも、金曜日は少しゆとりがある。ドラマ「珈琲屋の人々」(2014年)、ドラマ「ハードナッツ!」(2013年)を観始めた。どちらもなかなか面白い。

★ 「珈琲屋の人々」は池永陽さん原作で、下町の商店街で、親の跡を継ぎ珈琲屋を営むちょっと訳ありな店長がカッコいい(演じるのは高橋克典さん)。「ハードナッツ!」は橋本愛さんが演じる数学の天才学生が事件を解決するというもの。脚本は「TRICK」などを手掛けた蒔田光治さんたち。「の・だめ」の上野樹里さんや、「TRICK」の仲間由紀恵さん、「SPEC」の戸田恵梨香さん同様、橋本さんの独特の雰囲気がいい。

★ さて、角田光代さんの「かなたの子」(文春文庫)から表題作を読んだ。角田作品はどうも敬遠しがちだが、この作品には心を動かされた。

★ いつの時代かは定かではない。風景的には地方のそれもだいぶ田舎の方。文江という女性は子を身ごもるが、死産だったようだ。この地方では「生まれるより先に死んでしまった子」には、名前をつけてはいけない、供養してもいけないという習わしがあった(生まれなかった子は次の子として生まれるという)。しかし、8か月間体内に宿した生命、何もなかったかのようにするのに抵抗を感じた文江は、義母や夫には内緒でその子を「如月」と名付ける。

★ 数年後、次の子を宿した文江は「如月」の夢を見る。「如月」が「甘い臭いの声」で今は「くけど」というところにいると言う。行商の女性によると実際にある地名らしい。彼女は意を決して、「如月」に会いに行く。

★ 民俗伝承をもとにしたような話で、解説ではラフカディオ・ハーンの「子供たちの死霊の岩屋で」が紹介されていた。

★ 青い海をたたえる洞門。それは生と死の境界を表すかのようだった。

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