イエス・キリストを裏切ったユダ・イスカリオテは銀30枚を「神殿に投げ込んで引き下がり、去って行って首をつって死んだ」ことが記されています(マタイ27:3~5)。使徒たちの活動の記録によれば、首をつったユダ・イスカリオテは「まっさかさまに落ちて、その身は真ん中から音を立て裂け、その腸はみな注ぎだされたのである」と記され、惨めな死に方をしたことが明らかにされています(使徒1:18)。神エホバのご意志に逆らう者の完全な滅びを予示する死に方となっています。さて、ローマ総督ピラトの前に立ったイエスの優れた態度がマタイの福音書に次のように記されています。
「さて、イエスは総督(ピラト)の前に立った。すると総督は彼(イエス)にこう質問した。「あなたはユダヤ人の王なのか」。イエスは、「あなた自身がそう言っています」とお答えになった。しかし、祭司長と年長者たちから訴えられている間、(イエス)は何の答えもされなかった。そこでピラトは言った、「彼らがあなたに不利な証言をいかに多く行っているか、あなたには聞こえないのか」。それでも彼(総督ピラト)に答えず、一言もお答えにならなかった。そのため総督(ピラト)は大変不思議に思った」(マタイ27:11~14)。
ローマ総督ピラトに関心があるのは、宗教指導者たちがイエスを冒とくの罪に定めた、自分は王キリストと称しているという罪状です。、総督ピラトは官邸内に入りイエスを呼び、イエスが総督ピラトの前に立った時、「あなたはユダヤ人の王なのか」と尋ねました。この質問は言い換えるなら、「あなたはカエサルに対抗して自分が王であると名乗ることにより法を破ったのか」と、いうことを質問されたのです。
この場面をヨハネも書き記しています。イエスは、自分のことを総督ピラトがどれほど聞いているかを知りたいと思い、「あなたがそう思うのは、あなた自身の考えからですか。それともほかの者がわたしについて告げたのですか」と、お尋ねになりました(ヨハネ18:34)。すると総督ピラトはほかに何も知らないことを認め、事実を知りたいという気持ちを表しました。「わたしはユダヤ人ではないではないか。あんた自身の国民と祭司長たちが、あなたをわたしに引き渡したのだ。あなたは何をしたのか」と、総督ピラトは言いました(ヨハネ18:35)。
イエスはこの問題、つまりご自分が王なのかという問題を決して避けようとはされず、毅然と答えられます。イエスは上の聖句に示す通りに、「あなた自身がそう言っています」と答えられます。この「あなた自身がそう言っています」という当時のユダヤ人の言い回しは、「あなたのおっしゃる通りにわたしは王です」と、いう是認の言葉を表しています。
さらに上の聖句に示される通りに、祭司長と民の年長者たちは、総督ピラトにイエスに関する不利な証言を数多く行っています。そうした怒号の中で、総督ピラトは「彼らがあなたに不利な証言をいかに多くおこなっているか、あなたに聞こえないのか」と尋ねています。しかし、イエスはそのような偽りに答えようとはしません。イエスは、荒々しい偽りの非難に面しても穏やかな表情をされています。そのため、総督ピラトは驚嘆し、「大変不思議に思った」ことが記録されています。イエスの緊迫した場面でも堂々とした神の子としての態度に見倣いたいと思います。
赤トンボ 傍に寄りくる 奉仕中 今日の一句
庭に咲いている「メドーセージ」