先日国会の議論を聴いていて、確か農水大臣だったと思いますが「農地の集積化・集約化を・・・」といった答弁をしておられました。
私はこれまでこれらの言葉を区別せず似たような意味で用いておりました。要は分散した農地を集めるといったことかと思っておりました。
しかし、大臣答弁のように集積化・集約化と並べて使われると、それぞれが別の意味を持つということになります。しからば、それらの違いを明確にする必要性があるものと考えます。
ということで、先ずは、農業経営基盤強化促進法をみてみます。
「第一条 この法律は、我が国農業が国民経済の発展と国民生活の安定に寄与していくためには、効率的かつ安定的な農業経営を育成し、これらの農業経営が農業生産の相当部分を担うような農業構造を確立することが重要であることにかんがみ、育成すべき効率的かつ安定的な農業経営の目標を明らかにするとともに、その目標に向けて農業経営の改善を計画的に進めようとする農業者に対する農用地の利用の集積、これらの農業者の経営管理の合理化その他の農業経営基盤の強化を促進するための措置を総合的に講ずることにより、農業の健全な発展に寄与することを目的とする。」
ここに農用地の利用の集積という文言がでてきております。ここでいう集積の意味は、特定の農業者(いわゆる意欲のある農業者ということか?)に農地を集めようといった意味で使われているように考えます。
ですから「農地の集積化」とは、農業者当たりの耕作面積を大きくして大規模農家を目指そうといったことかと考えられます。ある意味、農地の権利(所有権、賃借権など)の移動のみで、農地をまとめるといったニュアンスは無いように思います。
一方、「農地の集約化」でググってみますと「
農地の集約化がもたらした大きな成果(1)」というページがあります。
この記事を読むと「農地の集約化」とは、散在する小面積の農地を農業者ごとにまとめて、同一農業者の農地間の物理的距離を小さくすることであろうと考えられます。農地は持ち運びできませんから、当然権利の移動(主に交換)を伴いますが、特定の農業者に集中させるといったことではないものと考えられます。
今まで何の気なしに意味も知らずに使っていた言葉ですが、改めて調べてみて、これが正しいか否かは別として、一応自分なりに納得することができました。今後の記事では、この線に沿って使い分けたいと思っております。
さて、これまで大規模農家を目指すということが盛んに主張されてきました。そのためには農地の集積化が必要となります。しかしながら農地がバラバラに分散していては作業効率が低下します。ですから集積化と集約化がセットであることが重要になります。冒頭で述べた農水大臣の答弁は、そういった意味であったのかなかったのか・・・。それとも官僚のメモにそう書いてあったのか・・・。