戦後生まれの私ですが先の大戦のことは身近な人から多くのことを聞かされて育ちました。私の大叔父は硫黄島で、連れ合いの伯父はビルマで戦死しております。当然のことながら、どのような最後であったのかもわかりませんし、亡骸は野ざらしにされていたと思います。
一家の大黒柱であった者がたった一枚の赤紙で招集されて戦地に赴いて、激烈な戦いの末に命を散らしたかと思うと、その無念さを思わざるを得ません。また残された遺族の悲しみや、その後の苦労を考えると、なぜこのような戦争が起こってしまったのかという理由を知りたいと思うようになりました。このことが昭和史に興味を持った本当の理由なのかも知れません。
更に近年靖国神社の在り方が問われています。私が東京に住んでいたころ母が上京してきました。観光案内するからどこが良いというと、先ずは靖国神社に行って叔父さんに会ってきたいと言いました。遺骨も何もない戦死者の生身を知る遺族にとって靖国神社はそのような存在なのだなと知ったのでした。
今回読んでみようと思ったのは、半藤さんが最晩年に書かれた書籍であったこととと、本の帯に「あの悲惨な戦争のさなかで、こんなにも立派に生きた日本人がいた。」という言葉に惹かれました。
収録されている今村均大将については、他の書籍でも読んで感銘を受けたことがあります。本書でも多くの感動を得られると思います。
誤った指導者によって引き起こされた戦争であるにも関わらず、気高く生きた日本人がいたということに勇気づけられます。
今は新型コロナとの闘いのさなかです。感染者にいわれなき誹謗中傷が起こっているそうです。それをしているのも日本人です。そのような中で、献身的に働く医療従事者を含むエッセンシャルワーカーの方々がいらっしゃいます。その他にも、きっと気高く生きている日本人がいらっしゃることと思います。私はそのような日本人がいることを誇りに思います。
半藤一利著「靖国神社の緑の隊長」幻冬舎