アナログ規制の見直しを岸田総理がぶち上げているそうですが、要は行政手続きを今日的に見直そうということでしょう。これまでに行政改革、規制改革、行政手続きの簡素化、ペーパーレス化、窓口業務のシームレス化・・・とか何とか言って、ほぼ全ての内閣が課題として取り組んできたはずなのにまだ言うかといった感じです。これまでの取組が上手く行っているならば、とっくの昔に出来ているのではないですか!?
そしてこともあろうに「アナログ」といった言葉を持ち出して何を言いたいのかさっぱり分かりません。どうせできないのだから「アナログ」という本来見当違いの言葉を持ち出して胡麻化そうとしているとしか思えません。これは「アナログ」に対する冒とくに他なりません。
そこでアナログを復権させるべくここに立ち上がった次第であります(笑)
近年、音楽レコードなどのアナログ音源が見直されてきてブームが起こっているという報道を見聞きするようになり少々心強く思っているところです。利便性で言えば圧倒的にデジタル音源に軍配が挙がります。デジタル化することでデータ量を小さくし、保存性を高め、通信による配信を可能にし何時でも何処でも映像や音を視聴できます。
一方、そもそもの音源などはアナログなものですから、これをデジタル化(AD変換)するときに必ず犠牲にするものが出てきます。私たちにとってデジタルデータは単なる数値ですのでそのままでは見聞きできません。ですからデジタルからアナログに変換(DA変換)してやる必要があります。ここにも変換に際して犠牲にするものがあります。この二回の変換で音源の忠実性が損なわれてしまいます。
それが許容できる範囲であれば特に問題ないのですが、オーディオマニアの方々にとっては問題となるようで、そういった方々によってアナログレコードが見直されているのです。
そもそもアナログとデジタルに優劣などないのにデジタル=先進的、アナログ=時代遅れといった図式を持ち出してデジタル化することが時代の流れだと言わんばかりに吹聴しているのが可笑しいのです。デジタルやアナログを政治の世界に持ち込んでくること自体が無理筋な訳です。もっと適切な言葉はいくらもあるでしょうに!?
もう馬鹿々々しくて付き合いきれません。
せっかくですからアナログを復権させるために色々な例を取り上げてみたいと思います。
① 時計
時計にはデジタル時計とアナログ時計があります。(デジアナ時計というものもあります)
高級時計はほぼアナログです。デジタル時計は比較的安価なものが多いようです。これは好みの問題が多いでしょうが、単に時刻を知りたいときにはデジタルが便利でしょうし、後何時間とかいう時にはアナログが便利でしょう。
余談ですがアナログ時計には短針と太陽の位置から南の方角を知ることが出来るなどといった使い方もできます。
② スピードメーター
未だにアナログ表示が多いように思われます。デジタル表示と併用されているのも見かけますが、デジタルのみというのはあるのでしょうか?
内部ではデジタル変換されているのでデジタル表示が安価にできるのですが、わざわざアナログ表示にしています。
<2024/08/20追記>
車を買い替えたら、スピードのアナログ/デジタル/同時表示が選択できるようになっておりましたので、試しにデジタル表示にしてみました。慣れると全く問題ありませんでした。タコメーターのようにレッドゾーンが固定という訳でなく、制限速度が標識等で変化することから、むしろデジタル表示の方が分かりやすいかも知れません。
③ タコメーター
これは圧倒的にアナログ表示ですね。バイク用にデジタル表示のものがあるようですが、車載の標準装備でデジタル表示のみという車種はあるのでしょうか?
④ 燃料計
これも圧倒的にアナログですね。残量7.5リッターとか表示されても唸るだけですよね。
⑤ 圧力計
単に現在の圧力を知りたいだけならデジタル表示が便利です。しかし、圧力計には危険な圧力に対してどれ位の位置にあるのかを知るといった用途のものがあります。デジタルでも設定して色を変えるなどといったこともできますが、アナログの方がより直感的に把握ができます。
⑥ 温度計、湿度計
これはどちらでも良いような気がします。余談ですが、テレビなどで気温計という言葉をよく耳にしますが、さて気温計ってあったかな?
⑦ 距離計
長さを測るだけならデジタル表示が便利です。全体のどれ位に位置しているかだったらアナログですし、後どれ位というのでったらデジタルかな?
色々書きだしていて気づいたのですが、全て何かを測るものばかりですね。そもそもアナログ量を数値化して我々が認識することをデジタル化と言いいているのですから当たり前と言えば当たり前のことですね。アナログ計器は人間がデジタル化していて、デジタル計器は計器自体がデジタル化してくれて、その結果を表示しているだけのことなのです。その表示方法が目的にとってどちらがいいかというだけの話なのです。
そう考えるとアナログ規制って何なのか増々疑問が膨らんできます。報道の例では官報公示がアナログでWeb公示がデジタルだそうな。これは表示方法が異なるというだけの話ですよね。要は官報が発行されて初めて効力が発生するといった法律の建付けだけの話なのですから、アナログやデジタルといった言葉は全く無関係なことです。
更に言えば、公示による効力はその時刻や内容を含めて法的に重要なことです。現在の官報での公示が或る省庁のWebサイトに公表されたことになったとします。ハッカーがそのWebサイトを攻撃して内容を書き換えたとしたらどうなるのでしょうか。ほんの短時間かも知れませんが、それを見て信用して行った法律行為は善意の第三者として保護されるのでしょうか。
マイナンバーカードを含めて色々な問題を抱えていそうですが、ここであげつらっても仕方ありません。もう老い先短いこの身ですから取り立てて重要なことではありませんが、これから長い人生を歩まれる皆様にとっては大問題となって降りかかってくる可能性すらあります。
デジタル化という言葉に振り回されることなく、本質的な問題を捉えるようにしていただきたいと思います。
<参 考>
「
デジタルは万能か?」