なでしこジャパンの妹分「ヤンなで」の活躍を報じた記事を紹介します。そう、2012年8月19日から9月8日にかけて日本で行われた同世代世界最高峰の大会、U-20女子W杯( 2012 FIFA U-20 Women's World Cup)の話題。2カ月後の今から振り返っても、開催国の有利さはもちろ小さくなかっただろうけれど、少なくともそれと同じくらい大きな開催国チームであるがゆえのプレッシャーを突き抜けての見事な「銅メダル」だったと思います。
そして、それは、主将の藤田のぞみ率いる、池田咲紀子・田中陽子・田中美南、仲田歩夢・猶本光・柴田華絵、西川明花・木下栞・土光真代、横山久美・道上彩花・浜田遥・中村ゆしかといった(加之、今大会を欠場した岩淵真菜・京川舞のWエースを含む)この世代も、姉貴分の「なでしこジャパン」に引き続き世界を相手に充分戦えることを示した「銅メダル」だっただろう。
他方、「0-3」の得点差以上に試合内容的にも、あるいは、個々の選手の戦うマインドの面でも、鎧袖一触、完封され粉砕された準決勝のドイツ戦を想起すれば、この世代のサッカー女子日本代表の水準では、間違いなくこの世代の世界の二強であろうドイツとアメリカには、残念ながら、まったく歯が立たないこともまたすべての<ヤンなで美少女戦士>が皮膚感覚でもって思い知らされた、そんな「黄金のように有意義」な3位入賞だったの、鴨。
ちなみに、私的には「ヤンなで」の中の「MVP:Most Valuable Player Award」は高い技術と抜群の気持ちの強さで<ヤンなで美少女軍団>を統括した主将の藤田のぞみちゃんに、「MIP:Most Impressive Player Award」は攻守に切れ味鋭い、かつ、安定した働きを見せた田中美南ちゃん、そして、もう一つの「MIP」、すなわち、「MIP:Most Improved Player Award」は柴田華絵ちゃんにあげたいかなと思いました。
と、まずは、日本語の記事で英文読解のための情報を収集して置きましょう。理工学系や医学・薬学系のテクストなどよりも、ある意味、一層そうであることに誰しも異存がないであろう法学や哲学のテクストに劣らず、スポーツ分野のテクストも、その領域のある程度の<専門知>や<土地勘>がなければ、その言語のネーティブスピーカーでさえもテクストの内容理解は困難でしょうからね。
▼なでしこに続け! U-20女子W杯、開幕
昨年のFIFA女子ワールドカップ優勝、そしてロンドン五輪での銀メダル獲得により、なでしこジャパンの人気とブランドは確固たるものになりつつある。澤穂希、宮間あや、川澄奈穂美といった女子A代表の主力たちに続く、ホープは誰なのか――。8月19日から日本で開催されたU-20女子ワールドカップは要注目だ。
出場チームは、開催国の日本を始めとする16カ国。これを4チームずつの4組に分けてグループリーグを戦い、各組上位2チームが決勝トーナメントに進出。9月8日、国立競技場での決勝戦を目指し、若きなでしこが戦いを繰り広げる。
U-20女子の歴史を振り返ると、2002年のカナダ大会以降、2010年のドイツ大会までの過去5大会では、アメリカとドイツの強さが際立っている。アメリカは優勝2回(2002年、2008年)、ベスト4が2回(2004年、2006年)。ドイツもまったく同様の成績で、過去10年間、この世代の女子サッカーは、アメリカとドイツに牛耳られてきたといっても過言ではない。
一方、3大会連続4回目の出場となる日本は、2002年と2008年のベスト8が過去最高の成績。前回の2010年ドイツ大会では、グループリーグで敗退している。今大会、ヤングなでしこは、北中米予選3位のメキシコ、オセアニア予選1位のニュージーランド、そしてヨーロッパ予選3位のスイスと同じグループに入った。2010年のU-17女子ワールドカップで準優勝した世代だけに、大きな期待を集めているが、一方、大会前から懸念されている材料もある。
それは、世界も注目するアタッカー陣の欠場だ。エース的存在ともいえるFW京川舞(INAC神戸)が、今年5月に全治6カ月の重傷。さらにA代表でも活躍中で、ロンドン五輪にも出場したFW岩渕真奈も、五輪での疲労と今年1月に手術したことを考慮し、今大会はメンバーから外れることとなった。とりわけ、2010年U-17女子ワールドカップでゴールデンボール(MVP)を受賞した岩渕の欠場は、チームにとって非常に大きい。得点源を2枚欠く中での本番は、厳しい戦いになると予想されている。
しかし、ヤングなでしこを率いる吉田弘監督は、現役高校生のFW道上彩花(常盤木学園高)に大きな期待を寄せている。・・・また、ミッドフィールドでゲームを作る田中陽子(INAC神戸)にも注目したい。U-17W杯準優勝メンバーであり、正確なパスとミドルシュートを持ち合わせている田中は、未来のなでしこを担うスター候補生である。今大会で最もチェックすべき選手のひとりと言っていいだろう。・・・
この世代の技術について、「日本の選手が世界で一番上」と語るほど、吉田監督は絶対的な自信を持っている。アメリカやドイツといった強豪相手に、どこまで対抗できるのか。テクニックとチーム戦術で対抗する本家なでしこ同様、ヤングなでしこも同じスタイルで世界の頂点を目指す。
(webスポルティーバ・2012年8月20日)
▼ヤングなでしこ史上初の銅メダル ナイジェリアに2-1勝利
サッカーのU-20女子W杯3位決定戦が8日、東京・国立競技場で行われ、“ヤングなでしこ”U-20女子日本代表はMF田中陽のゴールなどで前回準優勝のナイジェリアに2-1で勝利。自国開催のW杯で、史上初となる銅メダルを獲得した。
ヤングなでしこは前半24分、MF田中陽のミドルシュートで先制。右サイドからパスを受けると、25メートルの位置から左足で鮮やかな無回転ミドル。ボールは相手GKの手をはじき、ゴール右に突き刺さった。田中陽は今大会6得点目。田中陽は同32分にもFKでゴールを狙ったが、これは枠外。ヤングなでしこは安定した守備でナイジェリアを無得点に抑え、1点リードで前半を終了した。
ヤングなでしこは後半5分、後半開始から出場したFW西川のゴールでリードを広げた。前半途中出場のMF柴田がドリブルでナイジェリア守備陣を切り裂くと、抜け出した西川にスルーパス。西川はGKをかわして左足で技ありのシュートを決めた。
身体能力に勝るナイジェリアの攻撃を体を張ってしのいでいたヤングなでしこだったが、後半28分に失点。DF土光のファウルでFKを与えると、FWオパラノジーが左サイドから右足で直接ゴールを狙う。ボールはGK池田の手をはじいてゴールに吸い込まれた。
疲れを見せないナイジェリアはその後も猛攻を仕掛けたが、ヤングなでしこは集中力を切らさず。全員守備でしのぎ切り、2-1で試合を終えた。決勝は米国が2連覇を狙ったドイツを1-0で退け、2大会ぶり3度目の制覇を果たした。
(スポニチ・2012年9月8日)
Japan earns third-place finish in U-20 Women's World Cup
Japan survived a wave of late pressure to edge Nigeria 2-1 to claim third place at the Under-20 Women's World Cup on Saturday, making history with its best ever finish at the tournament.
Free-scoring Yoko Tanaka set the wheels in motion with the opener in energy-sapping heat at National Stadium and Asuka Nishikawa added the second shortly after halftime after coming off the bench to replace Ayaka Michigami.
Desire Oparanozie pulled one back for Nigeria but Japan held on to avenge its defeat to the Africans in the 2010 edition of the tournament, when Young Nadeshiko failed to advance from the group stage while Nigeria reached the final before losing 2-0 to Germany.・・・
Japan, looking to rebound from its heartbreaking semifinal defeat to the Germans, nearly got off to a dream start when Kumi Yokoyama picked out Michigami after three minutes, but the striker's first touch let her down and allowed Nigeria goalkeeper Ibubeleye Whyte to make the save at her feet after three minutes.
Nigeria went close seconds later when Oparanozie's free kick eluded everyone and came off the post, but it was Japan that took the lead with Tanaka's sixth goal of the tournament.
In the 24th minute, the 19-year-old, on target in every game except the semi defeat to Germany, let fly from 25 meters and although Whyte got a hand to the ball, the shot had too much purchase and nestled just inside the right-hand post.
"I just hit the ball and it went in and I am glad that was able to swing the momentum," said Tanaka. "Mistakes on our part put us on the back foot and I am pleased that we were able to see the game out."
The hosts doubled their lead five minutes after the break with a well-worked second, Hanae Shibata threading a through ball to Nishikawa to clip over the advancing Whyte.
"I came on midway through the match so was really determined to score," said Nishikawa. "Our opponents had the momentum but the whole team defended and held on. Hopefully this will put us in good stead for the future."
Nigeria hit back through Oparanozie's free kick with 17 minutes left to set up a tense finish, but despite plenty of late pressure, the Africans were unable to find a way through.・・・
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【出典:Kyodo, Sep. 9, 2012】
【語彙】
edge:~に辛勝する, claim:(賞や順位、当選という結果や地位を)手に入れる, tournament:選手権大会(cf.tournament自体には「勝ち抜き戦方式(の試合や大会)」という意味はありません。よって、「勝ち抜き戦方式の大会」と「総当たり戦方式の大会」は各々「an elimination tournament/a tournament with knockout system」や「a round robin tournament/a group tournament」と言います),
free-scoring:得点力のある(「点を取る気ならいつでも取れる」のニュアンス) , set the wheels in motion:事を円滑に進める/物事を軌道に乗せる, opener:(ある試合の)初得点・先制点, energy-sapping heat:気力も体力も萎えさせる茹だるような暑さ,
pull one back:1点返す(cf. pull back自体は「ゲームの流れを取り戻す」という意味), hold on:耐えて持ちこたえる, avenge:復讐する/ある試合で負けた借りを別の試合で返す, rebound from:~の痛手から立ち直る, get off to a dream start:願ってもない滑り出しをする, pick out:~を選ぶ/~に向けてパスする,
go close:少差で競り勝つ/あわや~を達成しそうになる, elude:追求の手を逃れる, come off the post:ポストにはじかれる, (be)on target:目標を達成している, put - on the back foot:-を守勢に立たせる/-が守りに専念せざるを得なくする, thread a through ball to:~にスルーパスを通す, put- in good stead:-に役に立つ, hit back:仕返しをする
<続く>