曜日のない暮らし

日々の暮らしにあるささやかで素晴らしい瞬間
暮らしと心を癒してくれる生き物たち
山本弘三の写真を中心にした日記帳

昨年周防大島にやって来たカバマダラの物語

2014年06月18日 | 日記

今日の花

 

みかん畑の側に植えられたガクアジサイ。ブルーがきれいですね。

 


 ここしばらく忙しかったので野山に行っていません。そろそろゼフィルスのシーズンになったので行ってみたいところは沢山あるのですがどこも車で数時間かかるところばかりでちょっと見てくるというわけに行きません。

ゼフィルスの仲間は周防大島にはクヌギに付くアカシジミとミズイロオナガはいますがそのほかはまだ見つかっていません。山にはイボタが沢山自生しているのでウラゴマダラシジミはいるのではないかと数年前から探していますが見つかりません。ウラナミアカシジミも見つかるといいなとは思いますがまだお目にかかれません。いろんな種類のゼフを見ようと思えばやはり中国山地の中央部まで行かねばならないので一日仕事になります。この時期は天気が良いと柑橘の薬剤散布に草刈り、梅の収穫もそろそろということでなかなか時間が取れません。雨が降ると作業場で南津海の出荷・弓削瓢柑の選別と荷造りなどミカン農家は年中暇なしです。

今朝は昨日からの雨が降り続いていますがこんな時でもギフチョウの生態観測くらいならできるので合羽を着て山へ行ってこようかなと考えています。1週間ごとに成長の具合を観察に行っていますが今週はまだいっていないので心配です。みんな無事に蛹になっていればよいのですが、4月に産み付けられた卵が天敵をかいくぐってどのくらい残って成長することができたか、最終的に蛹になれたのはどのくらいか、さらに来年の春無事に羽化できる蛹は何パーセントか、とても興味があります。山口県のギフチョウは年々少なくなって絶滅に向かっているようですが何が原因なのか見てみたい気がします。

今日は写真を準備して5月にアップする予定だったカバマダラの越冬の結末を載せてみようと思います。説明文など記入には数日かかるかもしれませんがとりあえず写真だけアップしておきます。

 


今日の音楽 (らんらんさんより)

プッチーニ 《蝶々夫人》 「ある晴れた日に」 マリア・カラス

歌詞が対訳になっていてよくわかりました。マリア・カラスさんの歌いいですね。


オペラシリーズはいろいろ送っていただいていますが何が来たか私も覚えていません。気にしないでください。いい音楽は何度聞いてもよいものです。

 


南国よりの飛来蝶 カバマダラ

昨年の7月に我が家の周りで繁殖しているカバマダラを見つけました。3年ぶりのことでした。晩秋までは家の周りで飛び回っていましたがさすがに12月の末には多くの蝶と同様に成虫を見ることはできなくなりました。それでも家の周りのトウワタの葉には卵が残されまた幼虫も大きいものから小さいものまでいろんなステージのものが残されていました。今までの記録には本州での越冬例はありません。この卵や幼虫たちがここ大島で冬を越して次の春に再び繁殖を始めることができるかどうか非常に興味深いことです。4年前には3月まで蛹が生き残っていたのを観測しましたが4月には羽化できませんでした。今回は12月末に飼育用として11匹ほど幼虫を室内に取り込みその他は野外でそのまま観察してゆくことにしました。その経過を一部ご紹介します。

 


 5月4日に最後まで残っていた越冬カバマダラ(室内飼育)が死にました。室内飼育は暖房なしです。室内温度は5℃から15℃程度でした。

その他の冬を越した(室内飼育)カバマダラたち

一番きれいに羽化したカバマダラも死んだときはこのように

翅はくしゃくしゃでしたが一時は元気でした。

上の4頭(室内飼育)が冬を越して羽化しましたがすべて不完全羽化でした。

 


昨年の8月3日、カバマダラが我が家の周りで確認された時の様子です

 

こんな状態が秋まで続きました。7月にすでにオレンジ色の蝶が家の周りを飛んでいるのを見ていましたがまさかカバマダラだとは思わなかったので確認しませんでした。8月の3日に初めて確認した時にはすでに相当な数のカバマダラが飛び回っていてここで1世代以上繁殖していたものと思われます。天敵が多いことも観察されましたが順調に繁殖して12月まで成虫が家の周りを飛び回り迷蝶と言うより普通の蝶のようでした。

 


 12月末より観察開始 カバマダラは大島で越冬できるか

1月の寒さの中、庭のトウワタで育っているカバマダラの幼虫

 

 

 

 


1月・2月次々と蛹になりました

 

無事に蛹になるものとうまくいかないものとがありました。正常な蛹になれたものの体内にヤドリバエの感染があって死滅するものが多かったのは興味深いことでした。 

 


3月 羽化が始まりました。

 

このカバマダラは弱々しく少しだけ飛ぶことができました。

ギフチョウと一緒です。

この1頭が一番ましな形で羽化しました。オスです。

 


羽化と同時に墜落

飼育箱の高い位置で蛹になっていたこのカバマダラは羽化の時に床に墜落していました。それで私は死んだものと思っていたのですが数日して触ってみると生きていたのです。

羽化途中で力尽きてしまいました。

 


3月24日に墜落していたカバマダラです。生きていたので餌を与えると少し元気になりました。

羽化不全のギフチョウと一緒に食事です。

5月3日の朝には食事をしましたが、夜には動かなくなっていました。こんな体て飛ぶことはできませんでしたが40日間生きました。

他の3頭は20日から30日間生きました。こんな状態なので交尾と産卵までは行きませんでした。今回も4年前と同様春に次の子孫を残すことはできませんでした。