金沢の観光スポット体験レポート その275(No.448)
◇金沢茶の湯めぐり 2-1(金沢市立茶室めぐり)
金沢には観光施設、歴史的建造物などに茶室が多くあり、
気軽に抹茶や煎茶が飲めるところ、茶会などを開催できる
施設が多くある。今回は茶の湯と題して巡ります。
□金沢茶の湯の歴史
室町時代に始まったと伝えられる茶の湯は、戦国時代には
武士の嗜みとされるようになり、静かにお茶を立てること
は乱世を生き抜くための心の慰みであり、権威の象徴とし
て、また客をもてなす場として茶の湯が用いられました。
前田利家もまた、織田信長や豊臣秀吉らの影響を受けて茶
の湯に関心を持ち始めました。茶道の大成者である千利休
や織田有楽斎に学び、加賀藩に茶道の文化を定着させ、諸
大名などを招いて頻繁に茶会を開くようになりました。
江戸時代に入り、三代藩主・前田利常が裏千家の千宗室・
仙叟(せんそうしつ・せんそう)を指南として招いたこと
で、加賀藩に裏千家が普及しました。五代藩主・前田綱紀
の頃になると、職人や町人までがお茶の作法を身につける
ほど幅広い層にまで広がりました。
金沢では、現在でも裏千家をはじめ遠州流や宗和流などの
茶道が盛んで、数多くの茶会が歴史的建造物の中や庭園な
どで盛んに開催されています。
■写真は松向庵全景
■写真は松向庵地図
金沢市茶室総合案内ページ
http://www4.city.kanazawa.lg.jp/11020/chashitsu/index.html
◇金沢市立茶室めぐり(1)旧園邸・松向庵(しょうこうあん)
この茶室は、大正10年頃、羽二重商を営んでいた本郷長次
郎氏が、ここに邸宅を新築した際に、各部屋が茶事に使え
るよう露地ともども、表千家家元千宗左、惺斎宗匠の指導
によりつくられた。
大正から昭和にかけて月釜が掛けられ、本格的な茶事が催
せる茶室として評判でした。茶室は三畳台目の「松向庵」、
その他に十畳の広間、水屋、待合などが坪庭を中心に巧み
に構成されている。
外観は、水平につらなる長屋門を思わせる門と塀が端正な
趣を醸し出し、本屋の重なる切妻屋根と調和し、落ち着い
た品のよいたたずまいをみせています。
その後、この建物は園酉四郎氏が取得し、住まいとしてい
ました。夫妻の亡きあと、その遺志により、平成4年10月、
金沢市へ寄贈された。大正期の近代和風住宅の一つとして
たいへん貴重をもので、平成6年5月11日に金沢市指定文化
財に指定された。
・見学時間: 9:00~17:00(土・日・祝日)茶会等使用時は不可
・休館: 月~金曜日(祝日を除く)、12月~2月
■写真は玄関
■写真は仏間から中庭
■写真は茶室(現在は使用不可)
■写真は茶室水屋
■写真は茶室横の座敷
■写真は本座敷
■写真は座敷より庭
■写真は倉入口
■写真は松向庵図面