金沢の観光スポット体験レポート その437(No.679)
◇兼六園の山① 七福神山、山山
兼六園には大小4つの山がある。高いものから並べると山山、栄
螺山、鳳凰山、七福神である。今回はこの山を紹介します。
1)七福神山(しちふくじんやま)
曲水にかかる雪見橋の正面にある築山。七福神に見立てた七つの自
然石を配してあることから、この名が付いた。別名、福寿山。一説
には竹林の七賢人(稽康、阮籍、山涛、向秀、劉伶、阮咸、王戎)に
なぞらえたともいわれる。中央にある主木のアカマツは、鶴が巣を
つくったことから、「巣ごもりの松」とも呼ばれている。
七福神山周辺は12代藩主前田斉広の隠居所「竹沢御殿」から眺める
ためにつくられた庭園の一部である。曲水護岸の石組み、雪見橋や
雁行橋、雪見灯籠などの配置もほとんど当時のまま残っている。か
つては卯辰山を借景として取り入れていたと推測されるが、現在は
樹木が生い茂り、その眺望は変化している。
■写真は七福神山全景
今少し確認が必要であるが、インターネットの資料によると七福神
を表している石は3枚の写真のようである。
■写真は七福神
◇七福神とは
1)恵比寿(えびす)
イザナミ・イザナギの間に生まれた子供を祀ったもので古くは「大
漁追福」の漁業の神である。時代と共に福の神として「商売繁盛」
や「五穀豊穣」をもたらす神となった。唯一日本由来の神である。
2)大黒天(だいこくてん)
インドのヒンドゥー教のシヴァ神の化身マハーカーラ神。日本古来
の大国主命の習合。大黒柱と現されるように食物・財福を司る神と
なった。
3)毘沙門天(びしゃもんてん)
元はインドのヒンドゥー教のクベーラ神。戦いの神であったが、仏
教に取り入れられてから、福徳増進の神としてしだいに民衆に信仰
される。日本では毘沙門天(ヴァイシュラヴァナ)と呼ばれる。
■写真は恵比寿、大黒天、寿老人とされる石
4)弁才天(弁財天・べんざいてん)
七福神の中の紅一点で元はインドのヒンドゥー教の女神であるサラ
スヴァティー神。仏教に取り入れられ、音楽・弁才・財福・知恵の
徳のある天女となり選ばれた。七福神の一柱としては「弁財天」と
表記されることが多い。
5)福禄寿(ふくろくじゅ)
道教の宋の道士天南星、または、道教の神で南極星の化身の南極老
人。寿老人と同一神とされることもある。長寿と福禄をもたらす。
■写真は福禄寿、布袋とされる石
6)寿老人(じゅろうじん)
道教の神で南極星の化身の南極老人。日本の七福神の一人としては
白鬚明神とされることもある。
7)布袋(ほてい)
唐の末期の明州(現在の中国浙江省寧波市)に実在したといわれる仏
教の禅僧。その太っておおらかな風貌が好まれ、手にした袋から財を
出し与えてくれる。弥勒菩薩の化身ともいわれている。
■写真は毘沙門天(塔)、弁財天とされる石
■写真は雪見橋
2)山山
小立野入口を入ると右手に巨大な欅が林立している築山がある。昔、
この地を山崎の庄と呼んでいたことから、この名が付いた。高さ9m、
周囲160mほどの山がつくられたのは、慶長4年(1599)加賀藩存亡の
危機に遭遇したとき、金沢城の周りに惣構堀を急遽つくって防衛力
を強めた。その遺構と見られている。
山には紅葉、銀杏、欅など落葉樹が多く植えられており、新緑、紅
葉が見事である。また山頂には茅葺の御亭が建っており、麓には御
室の塔や芭蕉の句碑、寄石灯籠がある。
■写真は山山御亭
■写真は山山
■写真は山山登り口の芭蕉句碑
■写真は山山の石塔
(つづく)