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原田マハさん「生きるぼくら」を読んでの感想

原田マハさん「生きるぼくら」を読んでの感想です。
原田マハさんの「楽園のカンヴァス」がすごくよかったので原田マハさんの「生きるぼくら」を次に読みました。
原田マハさんは絵画に係わる仕事をされていたということで名画が話に出て来る。
今回は東山魁夷の緑の湖が作中に出て来た。僕は絵画はあまり興味が無いけれど絵画も観始めるとおもしろいのだろうな。奥が深いのだろうなと思いました。
大きい絵でその東山魁夷の絵を観てみたく思いました。

この小説はひきこもりの青年の生活から始まった。
おかあさんとの生活。そしていじめを経験してひきこもりの生活に入ってしまう。
でも僕は青年、人生君のお母さんへの気持ちに僕と僕のお母さんとの思い出をからめて切なくなった。
僕はこの気持ちの揺れ動き、切なさに引き込まれた。原田マハさんの作品はこの気持ちの描写がやさしくて僕は好きです。
お母さんを思って、そしてその反動で上手く行かないことへのいら立ち。そしてお母さんは出て行ってしまう。そこから人生君の旅が始まる。
僕はこの前半部分が好きでした。気持ちの部分、抽象的な気持ちの表現が切なかったです。

そして話は動いて具体的な動きとなる。マーサおばあちゃんとの出会いが素敵でした。
そしてマーサおばあちゃんの話、周りの人の話。いい人たちでうれしくなりました。
でもいつまでも続いて欲しかったそんな生活が突然変わってしまう。
そこで人生君は周りのみんなを頼った。世の中捨てたもんじゃないよと思わせてくれた。
同居のつぼみさんとのやりとりも温かい気持ちになりました。

話は稲作の話を中心にして進む。
昔ながらの自然農法での稲作。信じて見守る。稲作りは人との関係作りにも共通している。
そしておにぎり。梅干しのおにぎり。おにぎりは人の思いを込められるのだなと思いました。
僕も仕事をしていてお金に困っていた時にお母さんに昼ごはんにおにぎりふたつ毎日持たせてくれたな。昼休みに海の岸壁で食べたなと思い出しました。

僕はもうお父さんもお母さんも亡くなっていない。
でももうひと頑張りしたいなと思う。
周りの人を信頼してみる。
そこから僕の新たな生活が始められるかも。
そんな希望を感じられた本でした。
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