世の中には片手袋にまつわる創作物(CMや漫画や絵画など)が結構沢山あります。このブログでも僕が発見する度に、“メディアの中の片手袋”としてご紹介しております。
その中でも「片手袋を描いた絵本」にウクライナの『てぶくろ』という作品がありまして、このブログでも何度も紹介しております。何故なら何を隠そう、この絵本と小学校一年生の時に出会った事こそ、僕が片手袋を気にするようになったきっかけだからです。
今読んでみても、「片方だけ落とされた手袋には、落とし主の知らない所で様々なドラマが生まれているかもしれない」という、僕が片手袋に魅かれる部分が簡潔且つファンタジックに描かれた名作です。
まさに「これぞ片手袋絵本の決定盤!原点にして頂点!」という感じです。まあ、“片手袋絵本”というジャンルがあれば、の話ですが。
ところが先日、友人がとても素晴らしい絵本をプレゼントしてくれたのです!
それは大原悦子さんが文、山村浩二さんが絵の、『カタッポ』(福音館書店)という絵本です。
これは本当に素晴らしいです。『てぶくろ』とは少し違って、この絵本は片手袋(この絵本の中では“カタッポ”と呼ばれています)達自身の物語なのです。
物語は、「駅の落とし物箱に次々と溜まっていくカタッポ達が、捨てられてしまうのを恐れて自分達で落とし主を探しに行くのだが…」というような内容。つまり僕の分類では“介入型落とし物系”にあたる片手袋達のお話ですね。
とてもユーモラスで微笑んでしまうようなお話ですが、最後はちょっと泣いてしまうような展開になるんですよ…。
僕は落語が大好きなので、山村浩二さんと言えば『頭山』の監督として認識しておりますし、実際あのアニメは大好きな作品なんですけど、その方がまさか片手袋の世界を描いて下さるとは。山村さんの描く片手袋は、読んでいるだけで手触りまで伝わってくるようで、とても暖かい感じがします。
また、あとがきのような形で書かれている、編集部の方の片手袋にまつわるエピソードも要チェックです!本当に片手袋って不思議な出会いを演出するんですよね。
とにかく、今まで『てぶくろ』しかなかった片手袋絵本界に、素晴らしい仲間が加わった事がとても嬉しいです。
皆様も是非お手に取ってみて下さいませ!