普通な生活 普通な人々

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アカシアオルケスタ インタビュー

2010-12-21 01:36:07 | 音楽にまつわる話<的>な
アカシアオルケスタ
独占インタビュー
大人こそ聴ける、アカシアオルケスタに注目!!

メンバー:佐野優(ba.) 藤原岬(vo.) 西村広文(key.) 北川慶祐(dr.)

アカシアオルケスタ
タイクツシノギ
OMCA-1138
2500円
12月15日発売
オーマガトキ/日本コロムビア


 アカシアオルケスタ。久しぶりに、大人の鑑賞にたえるJ-POP。
 2007年に活動を開始、これまでにインディーズでアルバムを2枚(『テアタリシダイ』〔07年10月〕、『カゴノトリ』〔08年10〕)、シングル3枚(「ヒトリアソビ」〔08年9月〕、「大嫌い」〔09年4月〕、「プレイゲーム」〔09年12月〕)をコンスタントに発表、現在、iTunes限定で5曲入りマキシシングル「ソノバシノギ」も配信中。おまけにライヴは数知れず! とキャリアを着実に積み上げて、この12月15日、満を持してメジャーデビュー。
 それにしてもさすが関西人! 初のインタビューとは思えないノリの良さ&歯切れの良さ。ちなみにベースの佐野は、いるのだが発言のタイミングを逃し、一言発言で終了した。
 J-CAST独占インタビューの始まり!
(加藤 普)


 東京事変のような曲も、Perfumeみたいな曲もある。オルタナな曲もあれば、それこそアゲアゲな曲もあるが、それらのすべてがきちんとアカシアオルケスタの音になっている。音のキャパシティー、間口が広く、懐が深い。とにかくカッコ良い!! 男3人は60年代のモッズを髣髴とさせるし、紅一点の藤原岬嬢はゴスロリ風でインパクトもある。

岬「元々私の中にバンドとしての完成像があって、それを具体化したらこうなったんです。最初からメンズは黒のスーツ、私はきちんとしたドレスにピンヒール」

 バンド結成は07年6月。インディーズで1stアルバム『テアタリシダイ』を出すわずか4ヶ月前。

西村「僕はキーボードとして最後にバンドに加入したんですが、初対面の1週間後にはレコーディングしてました。初対面で骨組だけの譜面を渡されて、セッションする中でその日の内に7割方曲は出来上がっていましたが、その時に岬嬢から『来週レコーディングだから』と告げられて。そんなタイトさのまま、このバンドはスタートしました」

 メンバーの北川(dr.)と佐野(ba.)は元々、シンガーソング・ライターとして活動していた岬嬢のサポートメンバーだった。

岬「音楽活動の事で真剣に悩んだ時期があったんですが、皆と音を出していると凄く楽しいなと思えて、一緒にバンドという形で演りたいと。ヴィジュアル含めて演りたいことが頭にあって、とにかく説得しようと呼び出して……。ただ彼(北川)は以前にも別のバンド活動をしていて、バンドの大変さをよくわかっているから『せっかくここまで1人で演ってきたんやから、そのままの方がえぇんちゃうん?』という話もありましたが、私は計画したら実行しないと気がすまないタイプで、すでにスタジオも押さえて」

 北川は、最初呼び出された時は「告白される」と思い、「どう彼女にするか?」そんな事を考えながら出掛けて行ったそうだ。この時点で勝負あり。

岬「音ではなくイメージ、世界観を話しました。簡単にいえば、ヴィジュアルもステージングもサウンドも、すべてがカッコ良いと言われるバンドがやりたい、というような説明をしました」

 その言葉どおり、とにかく全員がステージで最大限に自分の魅力を発揮している。カッコ良いのだ!

北川「完全に自分達もカッコ良いと思ってます(笑)」
西村「バンドとしても個人としてもカッコ良いと思ってます」
佐野「ライヴ中に言ってしまうくらい…」

 西村によれば、ベースの佐野は「ライヴの最中に近寄ってきて、耳元で『カッコ良い! カッコ良い!!』と叫ぶ」のだそうだ。それほど自分たちの演奏、スタイル、形すべてに自信をもち、力も持っている。すべてを括るバンド名の由来は、「アカシアは大きな木で、オルケスタ=オーケストラも大編成。その大きさを4人で表現」という意味合いだそうだ。

北川「これが必要最低限の人数で、これ以上の音も必要ないという意味でのオルケスタです。バンド結成が6月と、アカシアの花が咲く頃でもあり、上手くまとまったなと…」

 そして、バンド結成3年半でメジャーデビュー。関西方面での彼らの評価はすでに高く、各地のライヴハウスをソールドアウトする実力。そしてメジャーデビュー・アルバムの音は、彼らを関西から全国へと解き放つに充分なもの。

北川「09年の6月からレコーディングし始めて、色々ありまして、結局今年の夏一杯まで録っていました。ラテンのリズムもありで、オルタナ、グランジの音を出そうとしているバンドというのは、他にいないと思います」

 自分たちの音を表現するのに時にラテンのリズムが必要なのであって、ラテンを演りたいわけではない、まず自分達の音ありきというスタンス。ライヴ・アレンジもその場その場の即興性を感じた。

西村「抽象的な言い方ですが、演ってる内に『どうせ、そこにいくんでしょ?』という感じです。『やっぱりね』『あっ、そっちにいきました? じゃ、そっちにいってみましょうか』って感じです」
北川「ライヴでも、決めてるところは決めてますが、決めてないところも随所に残されています」
岬「普通のバンドとは真逆で。普通はバンドの音がカチッとあってヴォーカルが遊ぶけれど、ウチの場合は私がキチンとラインをキープして、バンドが遊ぶみたいな」
 
 そしてもうひとつ面白いのは、ギターがいないこと。ただ、このバンドに限ってはギターがいないことがまったく問題にならない。ベースやキーボードがギターの代わりをする、というのではなく、ギターが不用。

北川「さっきも言いましたが、音はこれで充分。それにつきます。はじめはギターを探していたんです。それが西村と出会って、こいつがいるならギターは不要だと」
西村「ギターがいて当たり前、と言う前提があるギターレスと言う言葉は嫌いで……。ただ、バンドにはギターが要るというのは概念としてある。だからギターレスといわれる中で、キーボードとベースでカヴァーしていかなければならないというのはあるわけで、ベースとキーボードの阿吽の呼吸も、このバンドの見所、聴き所という気がします」

 ヴォーカルも含めて全員の演奏技術の高さは特筆モノ。全員のバランスが取れていて、それが音のタイトさや圧力を生み出している。そして忘れてはいけないのが、詞。

岬「歌詞は私が書いているんですが、私にしか書けない詞があると思っています。皆、自分で気付いていない自分の気持ちを気付かせてくれる歌詞を求めているんじゃないかと思うんです。私もそうですから。1曲目から最後のトラックの最後の言葉まで、一語一語に魂を込めて書き、歌っています」

 最後に読者の皆さんに一言、というと北川がこんなことを言った。

北川「アルバムで言えば、今は曲をばらばらに買えてしまうけれど、アルバムを通して緊張と開放というウェーブがあるんです。そのウェーブに歌詞が乗っていっている。是非、このアルバムで開放されて欲しいですね。それとライヴですが、その場でしか生まれない高揚感を一瞬でつくりあげられる自信があります。だから、僕らの音楽はカッコ良いと言う自負の元、前に前にいきたいですね」

 アカシアオルケスタは、やはり、佇まいもサウンドも、かなりカッコ良いバンド。ボク的には、今年のJ-POPでの大収穫! ということになった。


【タイクツシノギ 収録曲】
1. ハジメニ
2. つまらない夜
3. エゴイスト
4. 旅人
5. フカンゼンハンザイ
6. 狗尾草
7. レインコート
8. 賛美歌
9. ナイモノネダリ
10. 大嫌い
11. ヒナドリ
12. 息吹
13. プレイゲーム

<J-CAST12月10日号より転載>


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