■【あたりまえ経営のすすめ】経営支援編 コンサルタントを知る 5-20 中小企業の経営理念と実状に見る事例紹介
多様化の時代になり、ホンモノ智恵が求められる昨今です。
世の中には、「専門家」とか「プロ」と呼ばれる人が多数いらっしゃいます。
ところが、残念なことに、その大半というのが、「エセ専門家」「エセプロ」なのです。
管理職も、“真”のプロ管理職にならなければなりません。
ホンモノのプロ、要は「“真”のプロ」とは、どの様な人を指すのでしょうか。
エセプロの多くは、「あたり前のことが、あたり前にできる」ということを軽視しています。
「今の時代、最新の経営理論に基づく経営が重要である」と「あたり前」を蔑視をしている人もいるほどです。
では、「あたり前」とは、なんでしょうか?
「“真”のあたり前」を知らずして、あたり前を軽視して欲しくないですね。
あたり前は、その辺に転がっているのではなく、「あたり前は創るもの」です。
1970年代から、半世紀にわたる経営コンサルタント経験から、最善の策ではないにしても、ベターな策を講じるための智恵をご紹介してまいります。
■【経営支援編】第4部 コンサルタントを知る 1章 外部ブレインを使いこなせなくて経営者・管理職といえるか
半世紀にわたる経営コンサルタント経験から、いろいろな事を体験し、コンサルティング現場で活かしてきました。
士業・コンサルタントは、経営者・管理職に対して、いろいろな局面からの支援をしていくべきです。そのためには、経営者・管理職の立場も理解をしていなければなりません。
経営者・管理職向けの情報に対して、「俺は、コンサルタントだ。経営者・管理職向けの情報など必要がない」という姿勢でよいのでしょうか。「裏を返せばコンサルティングに通じる」という発想を士業・コンサルタントがしますと、視野が広がると考えています。
士業・コンサルタントも経営者・管理職も、フレキシビリティを持った発想が必要なのですね。
このような視点で、第4部をお届けします。
1章は、コンサルタントとは何をしてくれる職業なのかという視点で、士業・コンサルタントの本質を経営者・管理職に知っていただきたいと思います。
裏を返しますと、それを理解でき、行動に移せる士業・コンサルタントがホンモノのプロといえるのではないでしょうか。
◆5-20 中小企業の経営理念と実状に見る事例紹介
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その第一項は、「企業の存在意義は、社会貢献にある」と、自社のサービスを通して、社会に貢献したいという創業者の強い意志を感じます。
この会社の経営理念は、経営理念として独立したものではなく、付属文書がついています。
画面にありますように、「一人では生きて行けない」という言葉で、企業経営で困っている会社に、会計業務でそっと寄り添うという創業者の意図を、経営理念だけでは表現できない部分を補っています。
企業としてクライアントさんに寄り添うだけではなく、社員に向かって「一人の限界」を訴え、社員同士が助け合い、競い合い、切磋琢磨して、企業と共に成長してゆこう、企業のあり方を示しています。
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同社経営理念の第二項は、
企業の使命は
顧客満足にあり、
それは社会貢献に繋がる要素となる。
と、唄い、付属文書では、第一項を受けて、自社の使命について、顧客満足度を重視して、社会貢献をするのだと述べています。独りよがりの社会貢献ではなく、クライアントの立場に立ったサービスを通した社会貢献を強調しています。
通常、経営理念のような短い文章の中に、同じ言葉を繰り返すことは嫌われます。ところが、第二項でも、「社会貢献」ということばを第一項に続いて記述することで、「社会貢献」に対する、創業者理念の強さを訴えています。
しかも、付属文書には、「経営者の魂の叫び」とまで表現しているのです。
経営理念ですので、対外的な表明ということもありますが、ここでは、「お客様」という言葉を繰り返して、社員に対して、クライアント重視の姿勢を強く訴えています。
その手段として、コミュニケーションを重視すると言うことを述べるだけではなく、「素直に、お客様の声に耳を傾ける」という創業者の人間性をうかがわせる謙虚でありながら、クライアントに対して積極的な働きをすることの重要性を唄っているのです。
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第三項は、下記のように、前二項より長めの文章になっています。
成長する企業体を形成するために
私達は人間尊重の精神を基として、
創意工夫と感動に溢れた
働き甲斐のある企業体造りに邁進する。
ここでは、前二項で唄っています、企業としての基本思想を実現する方策を述べています。
クライアントに、サービスを提供し続けるためには、企業として存続しなければなりません。そのためには、企業として成長して行く必要性を説いています。
しかし、それは量的な成長というよりは、人間尊重、創意工夫、感動、働きがいという言葉からも、質を重視した成長にウェイトがあるように、筆者にはうかがえます。
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同社の経営理念は、前半二項で自社の基本思想であります「社会貢献」を対外的に明瞭に訴え、社会貢献の核となるのが、顧客満足度を大切にするサービスの提供であると表現して、社会貢献という抽象的な表現を、具体的に示しているといえます。
そして、第三項は、それらの実現策として、「人間尊重」、「創意工夫」などを通して、健全な企業創りをして行くという社員に向けての強いメッセージで締めくくっています。しかし、それは、単に社員に向けてという対内的なメッセージだけに留まらず、働きがいのある企業であるという企業イメージ高揚の対外的なメッセージともなっているのです。
また、これは経営者として、社員に向けてのメッセージでもあります。「人間尊重」といいますのは、社員も尊重するということにも繋がります。社員が、自身や家庭の事情に合わせて勤務体系を組めるという、フレキシブルな人事管理が、社員が長期にわたって働き続けてくれる原動力でもあります。
また、それが、社員のモチベーションをあげ、働く姿勢に繋がっています。
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「企業生命30年説」というのがあります。大半の企業が30年を待たずして消えていくという厳しい現実を表した言葉です。
同社は、女性社員を中心に、30年を超えて存続できている企業です。記帳代行業という、地味な業務でありながら、永きにわたって存続できていることは、この経営理念が日常業務に活かされているからに違いありません。
同社を訪れますと、全社員が起立して、来客を迎えてくれます。業務の途中で、起立するということは、自分の意図とは異なる形で業務を中断することになり、その行為をよしとしない人も多いと思います。
しかし、顧客重視という、同社の理念を考えますと、経営理念が隅々まで行きわった結果の行為ではないかと、私は、好意的に見ています。
同社は、過去20年以上、社員さんが20名ほどで推移しています。
起立すると言うことで、顧客を大切にするという企業イメージを来客に伝える効果もあり、結果として、各クライアントが、永く同社とつきあうことにも繋がっています。
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