ハマオモト;浜木綿;万年青;文珠蘭(ヒガンバナ科)関東地方以西の暖地の海岸に生え、栽培もされる。高さ約1m。茎に見えるのは偽茎で、太さ5~10㎝の光沢の円柱状になり、白色の葉鞘が互いに抱きあっている。葉は長さ30~70㎝の光沢のある広線形。7~9月、葉の脇から花茎が伸び、先端に白い六弁花が多数傘状に集まって咲き、芳香を放つ。花名は白い糸状の花が楮の皮を裂いて神事に使う「木綿」に似ていることによる。葉が万年青に似ているので「浜万年青」。◎『万葉集』で柿本人麿が「み熊野の浦の浜木綿」と詠ンだ花である。海辺に咲くため、噴き出すように咲くさまは白波に喩えられ、旅情など、愁いを含んだ句が詠まれることが多い。「浜木綿や濡れし艪櫂を軒に立て 米澤吾亦紅」「浜木綿に流人の墓の小ささよ 篠原鳳作」「浜木綿を兵立つ駅に見たりけり 沢木欣一」「遠のくものよ国生みの山も浜木綿も 金子兜太」「浜木綿の花の上なる波がしら 神尾季羊」「志士の像大いなるかな浜おもと 森田 峠」「漁火に向き浜木綿は海女の花 押尾久美子」「大雨のあと浜木綿に次の花 飴山 實」「浜木綿に大いなる濤きてやさし 村田 脩」「浜木綿も人も大振り島育ち 丹波恵美子」。(浜木綿は 余波の雨にも 逆らいて ケイスケ)